2024年 5月 5日 (日)

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対局相手に解析されてた「三浦弘行九段スマホ将棋」ソフト通りの指し手じゃないか!

   将棋界は対局中に離席してスマホで将棋ソフトを見て指したのではないかという疑惑で大揺れだと、週刊新潮と週刊文春が報じている。週刊文春によると、発端は7月26日(2016年)に行われた竜王戦の挑戦者を決めるトーナメントの準決勝、久保利明九段と三浦弘行九段戦だった。

   三浦九段の快勝だったが、<「証拠は何もないんです。でも指していて(カンニングを)『やられたな』という感覚がありました」(久保九段)>

   久保氏はソフトに精通している知人に依頼して、三浦九段の差し手とソフトとの一致率、離席後にどんな手を指したかを検証したという。

   その後、10月3日にA級順位戦があり、渡辺明竜王と三浦九段が戦ったが、渡辺竜王の完敗だった。だが、この対局はインターネット中継されていて、一部の棋士たちがリアルタイムで将棋ソフトを使って検証していたそうだ。負けた渡辺竜王もソフトを使って三浦九段の対局を調べ尽くし、「これは間違いなく『クロ』だ」と確信したという。

   渡辺竜王は1週間後に三浦九段と竜王戦を戦わなければいけない。悩んだ渡辺氏は、日本将棋連盟理事の島朗九段に電話をかけ、7人の棋士たちの極秘会談が開かれる。その後、島理事が三浦氏に連絡して不正の事実を問いただしたが、本人は認めなかった。

   週刊文春によると、連盟側は三枚堂達也四段が三浦氏からスマホでパソコンを遠隔操作する方法を教えてほしいと依頼されていたという情報を入手していた。10月12日、将棋連盟は記者会見を開き、竜王戦の挑戦者の変更を発表した。三浦九段は年内の出場停止処分。

   この記事を読んで、なにかしら違和感を感じる。私は将棋はほとんどできないが、父親が素人四段で、子どもの頃から将棋を教え込まれた。超短気な父は、ちょっとでも指し手を間違えると怒鳴られ、時にはひっぱたかれた。そうしたことに腹を立てた私は、中学に入った頃から将棋をやめてしまった。だが、初期の将棋ソフトが出た頃、買ってきたPCで遊んだことがある。私は少しレベルを上げると勝てなかったが、ボケかかった父親にやらせると、かなりのレベルまで勝つことができた。

   ディープラーニングができたおかげでAI(人工知能)は急速に進歩し、チェスを負かし将棋を破り、まだ先だと思われていた囲碁までも凌駕するようになってしまった。かつて米長邦雄永世棋聖(故人)は「兄貴はバカだから東大へ行った」と豪語していた。その米長氏も将棋ソフトには敵わなかった。そうなると、人間の棋士同士が戦う王将戦などは一番強い棋士を決めることにはならない。そこで勝った者が将棋ソフトと戦う「世界一決定戦」をやらなければいけないのではないか。

   将棋というと思い浮かべるのは阪田三吉や升田幸三のような棋士たちだが、もはやこうしたゲームの世界では、AIに勝てるのはいなくなってしまうのだろう。今回の『事件』は、棋士がソフトに勝てないことを棋士自らが証明して見せた。これからは、対局に将棋ソフトの持ち込みを認め、自分の技とソフトを駆使できた者が勝つというルールに変えることも検討すべきではないか。そうなると、将棋とはいったい何なのだろう。誰かこの問いに答えてくれる棋士はいないかね。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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