マレーシア事実上、北朝鮮と断交 カン・チョル大使に国外追放を通告

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   北朝鮮の金正男氏殺害事件で、マレーシア政府は先週金曜日(2017年3月3日)、事件の一味として逮捕・勾留していた北朝鮮籍のリ・ジョンチョル氏を証拠不十分で釈放、国外退去処分とした。同時に、カン・チョル在マレーシア北朝鮮大使を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として国外追放を通告した。期限は今日6日だ。両国は断交寸前と言える。

   リ・ジョンチョル氏は北京まで終始無言だったが、北京の北朝鮮大使館に入った4日夜、大使館の門扉越しに記者たちに向かって、「謀略だ」などとマレーシア警察の取り調べに対する怒りを大声でまくしたてた。

「(警察は)しつこく認めろ、罪を認めろ、認めなければ、お前も家族も無事ではいられないといった」「マレーシアの生活がどんなに良くても、私の祖国にはかなわない。私を育ててくれた祖国を忘れることはできない」

   拘留中は、故金正日総書記を讃える歌をうたって自分をはげましたと、「私の心はどこへ行く」などと歌ってみせ、「日に何十回も歌って打ち勝った」と。

   彼が工作員だったのか、事件と無関係だったのかはわからない。言えるのは、ここでの発言が自らの将来をも決めるということ。元工作員の脱北者は、「計画(金正男氏暗殺)は完全に成功したということ。彼は英雄扱いされるでしょう。2人の女性と偽のシナリオだけを残した」といった。

「ビザなし渡航」に終止符打ったマレーシア

   一方、カン・チョル大使は、事件発生以来一貫して、「北朝鮮のイメージを損なおうとする勢力と共謀している」「捜査は信用できない」などとマレーシア当局を批判し続け、かつ、大使館へ逃げ込んだとみられる重要参考人に対する警察の捜査協力要請を無視し続けてきた。

国外追放の意味は?

   マレーシア外務省は、国外追放の理由を、「謝罪要求に回答がなく、外務省に呼んだが応じなかった」とした。外務省はさらに、今日(6日)からビザの取得を義務付けた。これまで北朝鮮人はビザなしで入国できたが、蜜月はこれで終わった。他のASEAN諸国も追随する可能性がある。

   司会の夏目三久「大使の国外追放は、どんな意味を持つんですか?」

   龍崎孝(流通経済大学教授)「これまで両国関係は良かったが、マレーシアはあえて厳しい措置を取った。大使を追放すると、マレーシアも大使を召還する。大使館が機能しなくなったところで、ビザ取得を義務付けると、事実上渡航が不可能になる。事実上の断交、断交一歩手前。マレーシアとしては、国際社会で『北朝鮮に甘い国だ』として孤立するのは避けたいということでしょう」

   問題は北京だ。暗殺には一時北に厳しい見方が広がったが、金正男氏のDNA鑑定でも、親族を動かす気配はない。中国が北の擁護に回った場合、マレーシアも考えざるをえない。中国は北以上に読みにくい。

文   ヤンヤン | 似顔絵 池田マコト
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