2024年 4月 30日 (火)

〈パッセンジャー〉 宇宙船の中で冬眠から一人目覚めてしまったら? 孤独と愛、そして冒険

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   地球から新たな惑星に移住することを夢見た5000名の乗客。彼らは到着までの120年間を冬眠状態のまま宇宙船の中で快適に過ごし、眠り続けているはずだった。ある一人を除いては。たった一人、90年も早く目覚めてしまった主人公は、宇宙の彼方で一体どうするのか。主演は「ジュラシック・ワールド」のクリス・プラッド。運命を共にするヒロインは「世界にひとつのプレイブック」のジェニファー・ローレンス。

   冬眠ポッドの故障により、90年も早くに目覚めてしまった、エンジニアのジム。映画の冒頭から一早くその事実に直面した彼は、何とか一人でも快適に宇宙船での生活を過ごそうと試みる。この辺りの下りはテンポよく進み、彼の宇宙船での一年があっとゆう間に過ぎ去る。唯一の話し相手はアンドロイドのバーテンダー、アーサーだけ。全裸で宇宙船を歩き回っても、誰もとがめない。無人島にたった一人で流れ着いたような彼は、髪も髭も伸び放題。ついには孤独に耐えられなくなり宇宙に身を投げてしまおうとも考え始める。

   彼は一体この後、どうするのか。観客が見守る中、驚きの行動に出る。そう、眠り続ける他の乗客の中から、自身の好みの女性、作家のオーロラを選び、自ら起こしてしまうのだ!まさか偶然でなく、彼が故意にオーロラを起こしてしまうというのが、やっぱり解せない。ジムがイケメンのマッチョだったからいいものを、これが美男美女のカップルでなかったらどうだ。オーロラは広い宇宙船で、ジムと残りの人生を彼と過ごさねばならない。孤独から解放され、理想の女性と二人で過ごせるジムはこの上なく幸せだが、オーロラにはもはや選択の余地はないのだ。そうとは知らずジムの思わくどおり、恋に落ちる二人。二人だけの楽しい時が流れる。しかし一年が過ぎようとする頃、バーテンダーのアーサーに、その残酷な秘密をあっさり暴露されてしまい、怒り狂うオーロラ。そりゃそうである。

   この後もう一人、ポットの故障で宇宙船のスタッフ・ガスが目覚めるのだが、そのあたりから物語が急に駆け足になった気がする。ガスが目覚めて初めて、ポッドの故障は宇宙船の故障が原因で、宇宙船の故障個所を直さなければ宇宙船ごと駄目になってしまうという事態が発覚する。それには手動で直すしか方法がないので、ジムが宇宙服を身にまとい、命がけで宇宙船の修理にいくことに。ここは映画「アルマゲドン」のよう。そして結果、宇宙に投げ出され、ワイヤーに繋がれたまま臨死状態で宇宙を彷徨う彼を、オーロラが決死の覚悟で助けにいく。ここは映画「ゼロ・グラビティ」のようだ。そして本編全体を通しての雰囲気は、映画「オデッセイ」に似ていて、もういろんなSF映画を足して、そこにラブストーリーの要素を強くぎゅうぎゅう織り交ぜた感じの映画である。

   男女の愛と運命を描いたSF大作というが、その運命の女性を無理やり起こしたのはやっぱり納得いかない。とにもかくにも、極限の状況で芽生えた愛とはこういうものなのだろうかと、考えたくなる映画であった。

PEKO

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