2024年 4月 26日 (金)

大相撲「モンゴルへ帰れ!」の差別的ヤジ、国会でも問題に 立ち合い変化には賛否両論

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   先の春場所で稀勢の里と優勝を争った大関照ノ富士に、「モンゴルへ帰れ!」という差別的なヤジが飛んだ。14日目の琴奨菊戦で、横に飛んで勝ったのが「汚い」というものだったが、長年大相撲を支えてきたモンゴル勢にもこれはショックだったろう。3日(2017年4月)の国会でも取り上げられた。

   問題の取り組みは、14日目の先月25日。モンゴル出身の大関照ノ富士は12勝1敗で、前日土がついた横綱稀勢の里と並んで優勝争いのトップにいた。対する関脇琴奨菊は8勝5敗で、大関復帰ラインの10勝を目指して、いわば土壇場。観客の声援も琴奨菊に多かった。

会場はヤジの大合唱で異様な興奮状態

   しかし、勝負はあっけなかった。照ノ富士が立ち合いで右に変わって、はたき込みで琴奨菊は土俵にはった。この瞬間だった。「汚いぞ」「モンゴルへ帰れ!」の大合唱となった。会場は異様な興奮状態になった。

   この場にいた相撲解説者の杉山邦博氏も、照ノ富士の変わり身には、「がっかりした」という。「それはないよ、と思った。会場のみんなの気持ちだったと思う」。だが観客の反応、「汚い」に続いて「モンゴルへ帰れ」には驚いた。それも1人2人ではなかった。「失礼ですよ。今の大相撲があるのは、モンゴルの人たちのおかげですからね」

   土俵際で観戦していた、料理人の神田川俊郎氏も、「すごいヤジで、びっくりしました。今まであれだけのヤジはなかったですね。数も多すぎて......」という。スポーツ紙も、相撲協会の八角信芳理事長の「まっすぐ行って欲しかった。勝ちたい気持ちはわかるけど大関だからね」というコメントを伝えた。

「ヘイトスピーチ」と共産議員取り上げる

   3日の衆院決算行政監視委員会で、「ヘイトスピーチだ。再発防止を相撲協会と協議・助言する必要がある」(共産・宮本徹氏)との質問に、松野博一文科相は、「一般論で言えば、スポーツは人種、言語、宗教等の区別なく参画できるもの。いかなる差別も許容されるべきでない」と答えた。

   両国の相撲ファンは、「日本人として、人間として恥ずかしい」「(モンゴルへ帰れは)ダメだよ。行った人はそこから帰れ」というが、立ち合いについてはやはり、「ガチでやって欲しかった」「勝てればなんでもいいというわけじゃない」。「そういう技があるんだから、しょうがない」というのは少数派?だった。

   浜田敬子(元アエラ編集長)「同じことを日本人の力士がやっても、出自はいわない。モンゴル人には潜在的な意識として何かあるということ。あれだけ大相撲を支えてきた人たちにもう少しリスペクトの気持ちがあっていい」

   司会の羽鳥慎一「リスペクトの気持ちがあれば、あれは出ない」

   青木理(ジャーナリスト)「法務省が作った基準では、出自で『国へ帰れ』というのはヘイトスピーチだとしている。モンゴル人力士の貢献を考えると......」

   杉山「白鵬をはじめどれだけ貢献してくれたか、畏敬の念を持つべき」

   そこで羽鳥が、この対戦で照ノ富士が「変わった」のをどう見るかを聞いた。「あり」が杉山、浜田、宇賀なつみ。「なし」が青木。羽鳥は「なし」寄りということだった。杉山は「あり」とはしたものの、「大関や横綱が逃げちゃいけない」といった。

横綱稀勢の里も「変わって」いた

   しかし、この場所最大のヤマ場、千秋楽の稀勢の里と照ノ富士の一戦で、横綱稀勢の里も「変わって」いた。一度右へ変わって、取り直しで左へ飛んでいた。この結果、稀勢の里が勝って優勝決定戦に持ち込んだのだったが、これにはとうとう触れずじまいだった。ん?

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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