親の財産を我が子の教育につぎ込む中国人...超少子高齢化社会がもたらした「骨肉の争い」

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   中国で少子高齢化社会が急速に進む。「息子夫婦に家や財産を奪われる」という骨肉の争いが起き、老人の自殺が25年間で2倍に増えた。そこには祖父母4人、両親2人、一人っ子のいびつな家族構成「421社会」がある。60歳以上の高齢者がすでに2億人を越え、2050年には5億人に近づく中国の現実だ。

   未富先老の四字熟語を鎌倉千秋アナが示した。「国が豊かになって行くより先に老いる」ということだ。世界に例のないスピードの少子高齢化が深刻だ。一人っ子政策は昨年(2016年)で終わったが、「今後も出生率は変わらない」と、専門家は見る。「2人目を産むのは現実的ではありません」と若い母親が言う。北京大学の陸杰華教授は「早く対策をとらないと、手遅れになる」と強調する。

   武田真一キャスター「2人目は産まない、子が親の家を奪うといったさまざまな問題が起きています」

   原因といわれるのが教育コストの上昇だ。都市部で子どもが大学を卒業するまでに4000万円かかる。その教育費を親の財産に頼る子世代が増えているという。上海市の法律相談所は嫁姑問題の相談が年1000件を超す。訪れた老母は「ここに来たのが嫁に知られると怖い」

   弁護士の李東方さんは「子の教育のために働く世代のストレスは増すばかりで、親の財産に目がくらむ。親の老後は二の次です」と話す。

   築100年近い団地で取り壊し話が持ち上がった馬蘇珍さん(62)は、新しいマンションが提供されることになったが、「嫁は再開発の関係者に働きかけて財産を奪おうとしています。泣くしかありません」と嘆いた。

   こうした孤独な高齢者を中国では「空巣老人」とよび、1億人以上いるそうだ。その一人、童荷花さん(81)は、近所に住む息子が一人娘を大学に通わせるのが精いっぱいで、数年前から連絡がほとんどないという。「睡眠薬を飲んで死ぬだけです」と、一人で最期を迎える覚悟を決めているという。

   神田外国語大学の興梠一郎教授は「生存競争」というキーワードを書いた。不動産価格が高い、物価が上がる、雇用は厳しいという制度実態が伝統的モラルを揺らす。「農村はもっと深刻で、社会保障がしっかりせず、高齢者の自殺が増える」という。

   武田真一キャスター「地方と都市、都市の中でも公務員と非公務員の格差が一挙に噴き出たということですね」

高齢化が日本企業のビジネスチャンスに

   一方で、この超高齢化が経済の起爆剤になるという側面もある。2020年の市場規模は100億円以上と、日本の国家予算を上回る。日本企業のビジネスチャンスになるかもしれない。

   今年(2017年)2月、日本企業がセミナーを開いた。介護用品の販売やデイサービスの提供で強みは日本の経験だ。認知症予防にも力を入れる。ニチイ学館の種元崇子・常務執行役員は「介護や運用のノウハウは、十分に強みとしてやっていける」と話す。

   中国南部の海南島はいま「中国のハワイ」とよばれる。ここに全土から年のべ200万人以上の高齢者が押し寄せている。大気汚染がひどい冬場に来るので、こちらは「渡り鳥老人」といわれる。島のいたるところで高齢者向けマンションの建設が進む。シルバービジネスに参入した地元業者は有数の巨大企業に成長した。400億円を投資してがん専門病院を建てる計画もある。

   山東省青島では、日本との合弁企業が巨大都市開発に乗り出している。高齢者10万人の、テーマパークまで備えた街の5年後完成をめざす。日本の関係者は「大きな可能性を感じる」「大きなマーケットがある」と、力を入れる。

   日中の介護市場に詳しい干洋・城西大教授は「日本は数十年早く高齢化したシルバービジネスのノウハウがある。中国で人材を育成して、日本の介護でも働いてもらえる」「中国は大いに歓迎している。外国企業が合弁でなくても事業を行える」と言う。ただ、そのノウハウを利用だけして、技術を盗んでから切り捨てる中国のやり方はこれまでもあった。進出企業は市場規模にはしゃいでいないで、冷静な自制と警戒が必要だろう。中国のうまい話には罠がある。

   興梠教授は「中国はこの少子高齢化を乗り越えないと、先進国になれるかの瀬戸際です」と指摘する。

   武田キャスター「日本にも教訓になる。ビジネスチャンスにもリスクにもなる。私たちにも関わる問題として、その行方を見なければなりません」

クローズアップ現代+(2017年4月17日放送「"嫁"に家を奪われる!? 中国421社会の衝撃」

あっちゃん

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