往年の大女優が「過去の人」になる皮肉...作者・倉本聰の経験が底流に
〈やすらぎの郷 GW特別篇 前編、後編〉(テレビ朝日)

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   特別編ばかりでなく、筆者はスタートした回から全部見てきたが、最初の頃はテンポがのろくて辟易した。主人公の菊村栄(石坂浩二)が老人ホームへ入る前に、テレビ局での友達(近藤正臣)と延々話し合う場面などの、まどろっこしさ、作者、倉本聰のテレビ界への恨み節など、「はいはい、早く進んでくれよ」と思ったほどだった。
   ところが、総集編では個々のエピソードが中心である。『姫』と呼ばれるかつての大スター、九条摂子(八千草薫)が、貰った絵に大金が付きそうだと知ってアタフタし、「普通の人になった」と菊村のナレーションで皮肉られるくだり。元大女優の白川冴子(浅丘ルリ子)の誕生日パーティが、人が集まらず、その上、ホテルのキャンセル料が90万円と知って慌てるくだり。パーティ変じて、呪いの儀式になるくだり。個々のエピソードになってから俄然面白くなり、しわしわの顔を厚化粧で塗りたくったババたちが、いずれも現実の「過去の人たち」である点で、実に強烈な皮肉が利いている。
   井深涼子(野際陽子)は過去の恨み節を小説に書いていて、菊村に絡むのだが、要するに、作者の倉本聰はテレビ局の脚本家として一家をなしたには違いないが、やっぱり活字人間で、経験上のネタを書いてどうこうという、「書く」話ばかりなのだ。スマホもSNSも出てこない。ひょっとして倉本はITオンチか。やすらぎの郷の男子職員がムショ帰りとかで、今後事件が起きるのか? 乞ご期待。
(放送2017年4月29日、30日10時~)

(黄蘭)

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