2024年 5月 3日 (金)

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「痴漢の冤罪」から逃げられるか・・・現場警察官は女性の言い分鵜呑み

   6月6日(2017年)、無理やり女性の体を触るなどしたとして、強制わいせつ容疑で電通社員の高橋知也容疑者(29)が逮捕された。このケースは路上で起きているから情状酌量の余地はないのかもしれないが、電車の中で痴漢だと女性にいわれ、線路に飛び降りて逃げるケースが多発している。

   私などは始終足がふらついているから、電車の揺れで倒れそうになり、近くにいる女性の体に触ってしまうことが起きるかもしれない。そうした時、女性によってはわざと体に触ったと叫び、駅員に引き渡されることがあるかもしれない。どうしたらいいのだろう。目撃者を探せ、駅員に引き渡される前にそこを立ち去れ、弁護士に連絡しろというが、なかなかできるものではない。

   警察に引き渡されれば、場合によっては何日も拘束され、冤罪だとわかっても、サラリーマンなどは会社をクビになり家庭も崩壊してしまうことだって起こり得る。「痴漢は犯罪」だということはわかっているが、こうしたとき、警察はまず女性側に痴漢行為が実際にあったのかどうかをしっかり事情聴取してから、男の話を聞いてみるべきではないか。どうも痴漢に関して男は端から「推定有罪」と見られている気がする。

   週刊現代が報じているケースでは、逃げた男が悪いとしても、痴漢行為といえるのかどうか、私は首を傾げたくなる。5月11日にJR京浜東北線の車内で痴漢を疑われた男性が、JR上野駅の駅員室から逃亡し、近くのビルの屋上から転落死してしまったそうである。男は40代、都心にある超一流ホテルの支配人で、真面目な仕事ぶりで、そんなことをする人では絶対ないとそのホテルの従業員が語っている。

   本人が亡くなっているため真偽はわからないが、週刊現代が書いているように、30代の女性が寝ている横に坐った男が女性の手を触り、女性から「何で手を触ったんですか」「触っていない」と口論になった。上野駅で一緒に降り、男は断固否定していたが、客たちに取り押さえられ、駅員に引き渡されてしまった。何かの拍子に彼女の手に触れたのかもしれない。手を触ったぐらい、と私は思うのだが、件の女性には痴漢行為と感じたのであろう。

   男は駅員の目を盗んで逃げ出し、追い詰められて思い余って飛び降りたのか、飛び移ろうとして誤って落ちてしまったのか。真面目な人間だったため、ここで捕まったら人生の終わりと考えたのかもしれない。このケースが冤罪だったといい切る根拠を私は持たないが、こうした悲劇をなくすために、鉄道各社は何らかの手を早急に打つべきである。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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