やつれた野際陽子が痛々しい 老人の色とカネへの欲望でドラマが動く!
〈やすらぎの郷 57回〉(テレビ朝日)

印刷

   13日に肺腺癌で亡くなった野際陽子がメインの役で登場している。彼女の役は井深涼子という元女優。彼女は密かに作家志望で濃野佐志美(こいのさしみ)というふざけたペンネームで小説を書き、それが芥川賞の候補になったと脚本家の菊村栄(石坂浩二)を驚かせる。野際はこのシーンの撮影中から体調は良くなく、今週は井深を中心に話が展開するのに、そのつもりで見ると、元気がないし、声が肺腺癌患者独特の嗄れ声である。相当辛かったのではないか。

   この人には晩節という意識がなかったのか、あるいはまだまだ美しいと自負していたのか。いずれにしても自己を晒す俳優業者の内面は凡人にはわからん。皮膚の色も癌患者独特のものに見えるし。

   当作品はさすがに倉本聰の肝いりだけに、次々とドロドロ男女の過去の愛憎話が続く。しかも、俳優の高井秀次(藤竜也)という任侠役者はモデルが高倉健らしいとか、絵心のある秀次が昔、栄の亡き妻のヌードを描こうとしたとか、齢80を超えた倉本も、まだまだ色恋沙汰に未練たっぷりな様子である。もう1つのテーマ、シャンソン歌手の及川しのぶ(有馬稲子)は、夫の遺産をタックスヘイブンのヴァージン諸島に預けてあったのが、確執のあった小春(富士眞奈美)たちの詐欺に引っかかって30,000,000円がパア。つまり、老人たちの関心事である男と女の昔のドロドロと、金の問題の2つを上手く取り込んで連ドラを引っ張っているのだ。さぁすが。

(2017年6月20日12時30分~)

(黄蘭)

採点:1
  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter

このエントリーはコメント・口コミ受付を終了しました。

注目情報PR
追悼

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中