2024年 4月 30日 (火)

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形だけの「公益通報者保護法」

   前川前文科省事務次官の「告発」で内部告発に注目が集まっている。

   彼の気骨ある告発に続き、現役の文科省職員たちも、安倍側近たちの言動をメモにしていたものがあると、次々に内部資料を野党やメディアに流して、今治市に新設される獣医学部は、当初から加計学園ありきだったことが白日の下にさらされたのだ。

   だが、自民党のバカ議員の中から、「加計学園の獣医学部新設計画を巡り、内部文書が存在すると職員が内部告発して明らかにした場合、国家公務員法(守秘義務)違反に問われる可能性がある」などという声が出たのは笑止千万であった。

   あきれてものがいえないとはこのことだ。確かに公務員には仕事の中で知りえたことを漏らすと罰則がある。だが今回のケースは、文書は秘密ではないし、仮に秘密であっても告発には公益性が十分にあるから、守秘義務違反には問われないと、法律の専門家たちは見ている。

   前川前事務次官のように、資産家で、彼の妹が中曽根康弘の息子に嫁いでいるなど、後顧の憂いがない人間なら、万が一守秘義務違反に問われても、堂々と安倍と戦えるであろうが、そうしたケースばかりではない。

   この国には一応、内部告発者を守る「公益通報者保護法」が06年4月に施行されている。 週刊ポストによれば、この法律を作るきっかけになったのはトナミ運輸岐阜営業所に勤めていた串岡弘昭が、74年に東京―大阪間に路線を持つ運送会社50社の加盟社の間で違法な闇カルテルの存在があると、読売新聞に情報提供したことだった。

   だが、彼が告発したとわかって以降、仕事が雑用程度になり、手取り18万円のまま据え置かれ昇給もなくなってしまった

   02年に会社側を相手取り損害賠償と謝罪を求める訴訟を起こし、05年、会社側に1356万円の支払いを命じる判決が下る。

   この後に「公益通報者保護法」がつくられるのだが、串岡は、法律の中身を見れば、事実上、内部告発者規正法でしかないと批判している

   なぜなら、外部への通報を行う場合、「まずは社内で通報し、20日以内に『調査を行う』といった返事がない」ことなどが保護を受ける条件になるのだ。

   つまり、会社側が時間稼ぎで「調査する」といえば、メディアへの告発はできなくなるのだ。

   しかも、この法律には罰則規定がない。あくまで民事ルールとして定められたものだから、違反した企業に刑罰や行政処分は行えないのだ。

   こんな法律が内部告発者を守れるわけはない。アメリカの公務員を守る「ホイッスルブロワー法」は、通報者への一切の報復的人事を禁じているのに、日本ではそういう法制度はない。

   結局、内部通報した人間の多くは、社内でたらいまわしされ、白い目で見られ、辞めざるを得なくなるのだ。名誉回復するには会社側を訴え、一人で戦わなくてはならない。

   検察の裏金問題を告発しようとした三井環(元大阪高検公安部長)は、メディアに接触していたところを「微罪」で大阪地検特捜部に逮捕されてしまった。保釈されるまで実に拘留期間は325日に及んだ。三井はこう話す。

   「そういう国ですよ、日本は。一度口を開いたら、2度とその"ムラ"にはいられない。だから、ほとんどの人は矛盾を感じていても口を噤むのです」

   形だけの「公益通報者保護法」を改正して、内部告発者がバカを見ないようにしなくては、この国はますます腐っていく。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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