2020年 9月 25日 (金)

基地という最大の争点を隠した名護市長選 共謀罪・安保法制から続く与党の「国民だまし選挙」の総仕上げか

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人気の小泉新次郎氏もおかしな論理のすり替え

   自民党は二階幹事長や菅官房長官が沖縄入りして、振興策を約束して回った。もともと地元経済界にはこれまでの市政に不満があった。年間10数億円の米軍再編交付金を受け取っていない。これが8年間で100億円近くなる。渡具知氏は「受けとれる財源はすべて受けとる」と強調した。

   人気の小泉進次郎議員も2回応援に入り、「目の前の暮らしをどうするのか。基地賛否の代理戦争よりも政策論争の選挙にしよう」と呼びかけた。基地の是非を問わずに政策論争とは、おかしな論理のすり替えがあったものだ。

   有権者の思いは複雑だ。NHKの出口調査では、基地反対が52%、どちらかといえば反対と合わせて75%が基地に拒否反応を見せた。辺野古予定地の近くに住む50代男性は「大きな建設作業船を見たら、もうダメじゃないかと思う」と話し、これまではずっと基地反対派に投票してきたが、今回は渡具知氏に入れたという。「基地はもうできつつある。市長の力では止められない」

   農業以外に目立った産業がないという事情がある。どうせ基地ができるなら、「負担だけを押しつけられたらたまらない」と、せめて経済振興をという現実論が強まっていった。

   一方、名護市の中心部に住む主婦(37)はヘリの事故や不時着に「幼い子を抱えて他人事ではありません。許せない」と話した。この問題を議論した国会で自民党の松本文明・内閣府副大臣が「それで何人死んだんだ」のヤジを飛ばしたことにも驚き、「沖縄の人命を軽んじている。子どもに聞かせたくない」「いやなやり方で国は沖縄の人に決断をせまる。悔しいです」という。

   辺野古の漁師たちは漁ができなくなった今、政府から海上警備の仕事をもらう。そこに押し寄せる反対派といやでも対峙しなければならない。選挙は自民・公明がいくら争点を避けても地域に深い傷を残した。

   市長選の結果を受けて、安倍首相は「市民に感謝したい。公的に国も応援する。基地対策を進めたい」と、建設推進派が勝ちさえすれば公費も出しますよと言わぬばかりの喜びぶりだ。

   翁長知事は「国は基地に対する民意を一顧だにしなかったが、私が当選したときの民意はまだ生きている」と、一歩も引かぬ構えだ。

   この選挙が大きな節目になるのは間違いない。基地と経済振興のはざまで揺れるしかない沖縄県民・名護市民の気持ちは察するに余りある。沖縄に限って言えば、基地建設容認候補の当選という結果と、そこに流れる基地問題への複雑な思いの、どちらも事実だろう。

   同時に、全国レベルでこの選挙を考えると、争点隠しという自民・公明の巧妙な選挙手法がいよいよ確立したことがよくわかる。

   選挙では論争を避けながら、当選してしまえば国会審議の強行突破を平然とやってきた。安保法制や共謀罪法案のあのやり方に通じる。選挙が終わるまでは「NGワードは安保法制」「共謀罪法案のキョの字もいわない」ということか。名護市長選を内幕まで振り返ったとき、沖縄の切実な現状だけでなく、全国の重要選挙で繰り返される危険な側面までもが見えてくる。

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