退職したのに毎日車で仕事に行ってしまう... 認知症本人の行動に隠された真実は
2018.03.12 12:21
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認知症と診断された人向けの冊子が完成
認知症が進行して本人と話せない、または近くに代弁してくれる人がいない場合はどうすべきか。
和歌山・御坊市の介護福祉課には、家族や介護事業所の職員から認知症の相談が寄せられる。副主任の谷口泰之さんは、現場をたずねて解決策を一緒に探っている。
元大工の岸榮一さん(84)は、すでに引退しているのに、毎朝「仕事に行く」と言ってトラックで出かけていた。家族は運転をやめさせたかったが、止めても応じず、どうにも解決できなかった。
相談を受けた谷口さんが一緒にトラックに乗って付いていくと、到着したのはかつて岸さんが仕事場として使っていた倉庫だった。ここで毎日一人で座って夕方まで過ごしていたのだ。
介護福祉課は近所のデイサービスの施設に通うよう提案。施設では、岸さんにいすと看板作りを依頼した。大工仕事で活躍することで、岸さんが一人で運転して倉庫に行くことはなくなった。
谷口さん「倉庫に入っていく岸さんは生き生きしている。すごく笑顔が素敵だなと思います。いつもよりよくしゃべってますしね。本人の声を聞いて何をしたいか考え、一緒に体験してみることです」
3月(2018年)中には、認知症と診断された直後の人に向けた冊子「本人にとってのよりよい暮らしガイド」が全国の市町村に配布される予定だ。「一日も早く、スタートを切ろう」などの心構えや、認知症の先輩方からの「できないことは割り切ろう」といったアドバイスが掲載されている。
文
ピコ花子