2024年 4月 27日 (土)

<ラブレス>
ある家族の救いようのない「愛の喪失」自分しか愛せない夫婦の無残

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「愛情を失った人間の末路」を描いたシチュエーション・スリラー

   このモンスターのような夫婦が、現代ロシア人の実像なのかという推測は飛躍しており危険であろう(アカデミー賞にノミネートされた理由かも知れないが)。監督は極端な人物像をあえて作り上げ、テーマを明確にしようと試みている。テーマは子どもを含めた、自分以外の人間=他者への愛情の欠如であり、他者への愛情を失った人間はどのように生きていくか、どのような末路が待ち受けるかを描くシチュエーション・スリラーという評がしっくりくるだろう。

   評論が難しい映画であり、手放しで称賛及び鑑賞を勧められない。この映画は、映画という非現実で捉えるとまったくおもしろくないからであり、自分のこととして見ることで初めてフィクションがもたらす高揚感を味わえる、誠に恐い映画である。

丸輪 太郎

おススメ度☆☆☆

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