2024年 5月 19日 (日)

「高度プロフェッショナル」成果評価の働き方改革なのか?ブラック勤務の合法化なのか?

見えてこない「働く側のメリット」

   具体的な論点として、高プロは本当に多様で柔軟な働き方なのか、それとも長時間労働の助長に過ぎないのか聞いた。

   上西「多様で柔軟な働き方は間違いで、労働時間の規制を外せば、使用者は労働者に柔軟な働かせ方ができるというだけで、働く人からすると労働時間が自由になるわけではありません」

   竹中「この議論ではものすごく大事なことが抜けているんです。休みを強制するなど、すごい規制が課せられているんです。年間104日の休みが取れる。これ完全週休2日制ですよ。それに4週間で4日間の休みを必ず取れと規制している。そうしたバランスを見ないと誤ります」

   棗「4週で4日間休ませるというのも、4週28日として、4日間固めて休ませれば、24日間を24時間働けという業務命令が合法になるということです。ブラック企業が利用しないとも限らないですよ」

   吉田「自分の意志で主体的に同意した時に適用され、やめることもできます。あくまで選択肢を増やすに過ぎない。自分が成果を出したいという時にこれを選べる機動的な制度ではないかと思います」

   上西「選択肢というが、企業からこれを入れたい、同意してくれと言われたら断れないのではないでしょうか」

   議論は噛みあわないままで終わったが、法定労働時間を外すことが多様で柔軟な働き方と具体的にどう結びつくのか。世界の潮流だとかイノベーションの突破口とか、漠然とした賛成論では説得力に欠ける。労働時間の規制を外した労働者を作る。日本で前例のない制度だが、現段階では、社員に時間外の長時間労働をさせたい企業側の単なる法的責任回避としか見えない。

モンブラン

   *NHKクローズアップ現代+(2017年5月30日放送「議論白熱! 働き方改革法案~最大の焦点"高プロ制度"の行方~

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