2024年 5月 3日 (金)

「ワハハハ、おぬしもワルよのう」「局長様こそお人が悪い」......。官僚接待の生音声が明らかにする「霞が関ブローカー」の実態

東京五輪を前に英語やスポーツ事業をもくろんでいた

   谷口被告を知る男性は「霞が関は俺の庭だとうそぶいていた。国の政策に優先的に入っていき、利権をとるのが目的だった」という。その一環として裏口入学の仲介もし、教育をつかさどる文科省官僚をいいようにあやつっていた。

   谷口被告の周辺からはフランス料理店9万8000円、高級すし店27万円、銀座のクラブ54万円の領収証が出ている。接待費は多い月で600万円にもなった。「接待女性が嫌がるようなひどいケースもあった」という信じがたい話まである。谷口被告は、東京五輪をひかえ予算拡大が見込まれる英語事業や、スポーツコンサルティング事業をもくろんでいたという。このあたりの補助事業は清潔だろうか、要注意だ。

   国の政策を食い物にするブローカーの暗躍。そこに自身の利益をあさろうと、高級官僚や医大理事長のような指導的立場の人物が群がる。なんともずる賢い連中と薄汚い構図だ。

   取材を進めると、谷口被告が接近しようとした官僚のリストが出てきた。文科省、厚労省、国交省、金融庁の高級官僚30人の名前が載り、中には150万円の接待を受けたとして収賄罪で起訴された文科省の川端和明・元国際統括官の名前もあった。

   NHKの取材では、少なくとも11人の官僚が接待・会食の席に出ていた。ここでおかしいのは、NHKが入手したというのなら、なぜ当の官僚たちに直接取材して、名前や具体的な地位を明らかにしないのか。

   税金で仕事をして大きな権限を持つ高級官僚や政治家には、一般市民よりも厳格なモラルが求められる。プライバシーといってごまかせる問題ではない。きちんと言い分まで添えれば、どこの誰が何をしたかを明示できるはずだ。

   NHKは立派な取材活動をしながら、報道内容は常識的な分析や識者のコメントで終わり、事実に肉薄することなく霧の中におさめたままにした。意欲的な追及が最後で腰砕けになったといわれても仕方がないだろう。

   ※NHKクローズアップ現代+(2018年8月27日放送「官僚『過剰接待』~いま霞が関で何が~」)

   あっちゃん

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