2018年 11月 14日 (水)

AI・ドローンでつくる「1等米」田んぼの施肥、高温対策、稲刈り時期をデータ解析

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   AIやドローンを駆使した米づくりプロジェクトが始まっている。新潟市ではコメ農家の加藤誉士寛さんの田んぼで、最上級米を目指した。田植えが始まる5月中旬、農家はもっとも気を遣う。苗の成長にバラつきが出ないよう田んぼの養分を見極める必要があるからだ。

   米づくり名人と呼ばれる関隆さんも「田んぼ1枚の中でも、肥料分の多いところ、少ないところがあります。そこを見極めるのは、長年の経験と勘と言ったら恥ずかしいんですが、体に染み込んでいるものがあります」と言う。プロジェクトチームが導入したのは最新鋭の田植え機だった。前輪に土壌の養分を測る特殊なセンサーを取り付け、集めたデータを分析して自動で肥料の量を調整した。

上空からの映像で生育状況を把握

   順調に進むかに見えた7月中旬、思わぬ事態が起きた。最高気温が38度という記録的な猛暑に見舞われたのだ。このままでは稲に養分が届かず、著しく味の落ちる高温障害が生じる恐れがあった。障害を避けるには肥料を追加する必要がある。

   チームが使ったのは人工知能AIと連動したドローンだった。上空から田んぼを隅々まで撮影し、画像をAIに送る。AIには、全国の田んぼを撮影した2年分の育成データが蓄積されている。それをもとに、稲の生育状況を7段階に色分けして、肥料を撒くドローンに組み込んだ。ドローンが必要箇所に肥料を撒いて猛暑を乗り切った。

   そして終盤。米の品質が大きく左右される刈り取りの時期がやってきた。一般的には、たんぱく質の割合5~9%が味が良いとされている。ここで使ったのが人工衛星の赤外線カメラだ。たんぱく質の含有率を解析して刈り入れ時期を決めた。

   収穫されたコメは、新米検査で新潟産米の最上級ブランド米の基準をクリアし、「1等米」に合格し、全国に出荷されている。

   武田真一キャスターが試食した。「香りも本当にいい。モチモチしていて、美味しいとしか言いようがないです」

   チームは来年は病害の早期発見や除草の必要な場所をAIで判断させ、ピンポイントで除草剤を撒くなど品質向上を目指すという。

田起こしも田植えも全部やる全自動のロボットトラクター

   田んぼを耕し、田植えを行うロボットトラクター(通称「ロボトラ」)も現実味を帯びてきた。GPSで田んぼに向かい、耕作機械をおろして作業を始める。年内に商品化される見通しだ。

   開発に取り組んだ北海道大学大学院の野口伸教授は、小説「下町のロボット」最新作のモデルにもなった。

   日本総研の三輪泰史・創発戦略センターエクスパートは、農業の技術革新を次のように解説する。「米づくりは機械化が遅れ、生産性が低く競争力のない産業と言われてきました。それがいまは、IoT、AI、ロボットなどハイテク技術が入ってくることで、競争力のある新しい産業に生まれ変わろうとしています。まさに農業革命が起きているんです」

   農業従事者は65歳以上の高齢者が全体の6割を占める。農家の数は17年後には、今の半分近くに減少するとみられている。動き始めた農業革命が危機的状況にある農業の救世主となることを期待したい。

*NHKクローズアップ現代+(2018年10月31日放送「AIがうまい米を作った!~"農業革命"最前線~」

文   モンブラン
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