2024年 4月 26日 (金)

フェイクニュースで自殺に追い込まれた台湾の外交官 日本との親善に尽くした彼を襲った「ある情報」とは

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「ウソが瞬く間に100倍、1000倍になり、世論の圧力がかる」

   関西空港内にいた親子は「本当かウソか、あのときは区別できませんでした」と振り返る。当時、自分も書き込みをした男性は「周りで7、8人が話題にしていたので、事実と感じた」という。台湾のテレビでコメンテーターをしていた男性は「ツイッターやLINEで1分、1秒ごとに流れる情報はスピードが速くて、検証が難しい。深く反省します」とSNSで謝罪した。

   NHK台北支局の高田和加子記者は「蘇さんの自殺の直接の引き金ははっきりしませんが、事実でない情報が彼を追い詰めたことは今も衝撃です」と語る。台湾のSNS利用率は日本を上回り、真偽を確かめずに気楽に拡散させる人もいる。それを中国につけこまれて情報操作されるのではないかと行政当局は神経を使う。

   台湾の行政機関は毎朝2時間、SNSやネット掲示板にあふれる情報の確認に追われる。ホームページの訂正情報掲載が今年(2019年)はもう120件を超えた。にせ情報に対する罰則を強化する法改正案が審議中だが、言論の自由との関係でジレンマに直面する。行政が「フェイクニュース」と判断していいのか。判断を政府に委ねれば政治の暴走につながりかねない。

   フェイクニュースを研究している笹原和俊・名古屋大学大学院講師は「情報発進に時差や共有数の上限を設けることが必要で、リアルタイム性をスローに緩めることが重要です」と指摘する。

   政府や自治体、民間組織、メディア、そしてネットユーザーたちのどこをどう改めたらいいのか、果たして改められるのか。膨大なネット世界の広がりの前にいま、人々が立ちつくしている。

NHKクローズアップ現代+(2019年3月4日放送「フェイクニュース暴走の果てに~ある外交官の死~」)

文   あっちゃん
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