2024年 4月 26日 (金)

東日本大震災から8年 「なぜ救えなかった!」目の前で祖父母を失った女性、故郷に帰る決断までを追った

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津波に襲われた小学校体育館は、防災を学ぶ施設に

   毎年3月11日に智美さんは思いをつづってきた。「あれから5年、つい最近みたい。もっと頑張らなきゃ」「きょうで6年、3月が来ると怖くなる。忘れちゃいけないのに、思い出したくない」「きょうで7年、頑張る。頑張らなないと」

   去年(2018年)8月、転機があった。父と母が東京に会いに来た。智美さんは胸に詰まった思いがあふれて泣いた。そして、今年(2019年)1月下旬、「逃げるのをやめよう」と故郷に帰る決心をした。「ただいま」と声をかけて家に入り、仏壇に手を合わせた。どこにもある光景に大震災から8年の歳月がにじむ。「帰って来られなくてごめんね」「智ちゃんのせいじゃないから」

   野蒜小学校の体育館は取り壊され、校舎は防災を学ぶ施設に衣替えした。壁には当時の痕跡が刻まれ、津波が襲った午後4時をさす時計も残っている。

   いとうせいこう(作家)「生き残った人が罪悪感を持つことを、周りは忘れてはいけない。その気持ちを自分の中だけではなく、外に伝えないと、東北の人たちは忘れられたと思ってしまいます」

   武田真一キャスター「智美さんの思いは想像を絶するものがあります。私たちに何ができるだろうと思います」

   あれから8年、被災者一人ひとりのケースがさまざまなメディアで取り上げられている。機会あるごとに人々のケースを具体的に掘り起こす作業を行ない、そこに関心を持ち続けることが、必ず何かに通じるはずだと信じたい。

   ※NHKクローズアップ現代+(2019年3月11日放送「"初めて"の帰郷 ある被災者の震災8年」

   文・あっちゃん

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