2024年 4月 24日 (水)

「名前を変えたい」改名した100人の事情・・・トランスジェンダー、虐待親のトラウマ、恥ずかしいキラキラネーム

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   年間4000人以上の人が名前を変えるという。多くは自分の性と名前が一致しないことに悩むトランスジェンダーの人たちだが、親から受けた虐待の記憶を消し去ってリセットを望む人、奇抜で風変わりなキラキラネームを嫌うなどさまざまだ。なかには、過去に犯した罪を償った後も、ネット上に実名が拡散しているので再出発の道が閉ざされると改名を願う元受刑者もいる。

   「クローズアップ現代+」が話を聞いた106人のうち、半数の57人がトランスジェンダーだった。「亮子」を「亮」に改名した田附亮さん(40)は、「感覚からいうと、女性というお札を貼られているようでした」という。自分で「子」の字を取り、職場で亮と名乗るようにした。この名が定着して6年が経過し、改名を決意した。今では男としてパートナーの菜子さんと一緒に暮し、「彼女が36歳までに子どもを産ませてあげたいと思っている」と話す。

   「私にとって名前は呪いでした」と、幸絵からさち恵に改名した女性がいる。幸絵は父親が自分の名前から幸の一字を取り、「絵に描いたような幸せ」を願って付けたという。ところが、小学5年の時に父親が暴力を振るい始め、同じ家に一緒にいたくないと思うようになる。「名前を書くたびに自分の中に父親を感じて苦痛になっていった」と語る。

   高校生の時に父と母が離婚。シングルマザーになった母が働きすぎて体を壊し、介護するようになったが、そんなときに何かにすがりたい気持ちになり、飛びついたのが改名だった。望みを叶えた今は、「呪いも解け、人生も開けました」と晴ればれした表情で話す。

元受刑者はネットで犯罪歴バレるから名前隠したい

   戸籍の名前を変更する改名は家庭裁判所の許可が必要で、そう簡単にはできない。名前変更許可申請書と戸籍謄本、改名が必要な理由、場合によっては医師の診断書など、名前が社会生活に支障をきたしている証拠を添えて申請する。たが、申請しても改名に至らないケースは多い。年間2000件の改名相談を受ける司法書士の吉越清顕さんは、「過去に犯罪歴または逮捕歴があって、それを隠すために改名したいという理由は認められにくい」と話す。

   番組コメンテーターの石井光太(ノンフィクション作家)は、「改名したら犯罪を犯さなくなるのか。改名したらまっとうに働くのか。僕はそうじゃないと思う」と指摘する。 傷害致死罪で8年間服役し、現在は社会復帰に向けて改名を希望しているタクヤを石井が取材した。タクヤは「携帯で検索すると、具体的な事件の内容や『加害者を死刑にしろ』とか、誹謗中傷を含め、赤裸々に書いてあるんです。たとえばハローワークで履歴書を提出すると、面接前に断わりの連絡がきます。改名しないと就職はできない」と訴える。

   石井「僕の持論ですが、被害者遺族ときちんと関係を結び、精一杯の補償や謝罪をして、被害者遺族の方から改名をして人生を一から始めたら良いと言ってくれるようになれば、加害者も堂々と改名できると思います」

   名前を変えて人生をリセットしたいという前科・前歴者が、服役が終わったから、起訴されなかったから、自分の犯罪をなかったことにしてほしいというのは勝手すぎないか。殺人や致死事件の被害者が生き返るわけではない。就職が難しいといっても、それまで真面目に生きてきた人と同じように受け入れられないのは当然である。一生かかって犯した罪を償うのが、人生のリセットということではないのか。

NHKクローズアップ現代+(2019年9月4日放送「"改名"100人~私が名前を変えたワケ~」)

文   モンブラン
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