2019年 9月 24日 (火)

あいちトリエンナーレに電凸 どんな人が掛けてたのか?高校生や大手企業サラリーマン「作品のことはよく知らなかった」

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   愛知県で開催される芸術祭・あいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」が中止になったことについて、賛否や行政と芸術の関係について論議が続いている。トリエンナーレ自体はいまも開催中だ。

   ツイッターで電話を匿名で集中的にかけることを電凸というのだが、どんな人が「表現の不自由展」に脅しや抗議の電話をかけていたのだろう。16歳の高校生は1日20件近く掛け、SNSに事務局の電話番号も載せた。「顔がばれない、姿を見られないので、1人よりみんなでやる方がなんか許される雰囲気がある」と話した。

   電凸で「即刻撤去すべき」と主張した大手企業サラリーマン(42)は、地元の有名人がSNSに税金投入をおかしいと書き込んだのを知って、「自分も言わせてもらおうとやった」という。しかし、「(展示された)作品を詳しく知らない」「まさか中止とは思わなかった」「いま考えると、見てもらってもよかったというのはある」と語る。

協賛企業の注文サイトにも営業妨害メール

   電凸の矛先は協賛企業にも向けられた。名古屋市の大手レンタル会社には「展示物が気に入らない」「反日的だ」の電話や、商品の注文サイトに抗議メールが続き、営業妨害をほのめかす内容もあった。「こんなに大ごとになるとは夢にも考えませんでした」と近藤成章社長は驚きながらも、脅しには屈したくないとトリエンナーレ協賛を続けている。

   事務局への電話は「ほっとくと死人が出るぞ」「あんたを探して、母親の裸を写真にとるぞ」などと悪質な脅迫にエスカレート、会場周辺では日の丸を車体に描いた街宣車が「出てこい、こら」とがなりたてた。

   「ガソリンを持っていく」という京都アニメーション事件を思わせる脅しもきて、大村秀章知事は安全上の理由で中止を決めた。その後も、学校や幼稚園を標的にした脅迫がつづいた。これはもう犯罪だ。

   こうして「鑑賞者の見る権利、アーティストの表現する権利が奪われた」(あいちトリエンナーレの芸術監督を務めたジャーナリスト・津田大介さん)、「今まで展示できなかったことに風穴を開ける奇跡を起こしてくれるかと思ったが、ダメだった」(展示を中止された小泉明朗さん)

ロバート・キャンベル「強い芸術にはいつも政治性があります」

   中止発表から1カ月、その判断をめぐる議論が続いている。「表現の自由を後退させた」との批判も出る。12組の作家が「表現の自由を侵害されたところで展示を続けられない」とトリエンナーレ出品を取り下げた。

   実行委員の1人だった岡本有佳さんは、「一斉攻撃すれば中止に追い込めるという前提を作ってしまうのがものすごく怖い」と語る。日本文学研究者のロバート・キャンベルさんは「日本だけでなく、世界中で同じ傾向があります。個人攻撃やデマ、ウソが日本で特徴的に現れました」という。

   自治体が「政治的中立」を理由に展示内容の変更を求めたり、後援を取り下げたりした事例は、この5年間でわかっただけで43件にのぼる。なかには、「憲法記念日の集い」や「原発に関する市民活動」といったイベントまでが対象にされた。

   原爆の図の丸木美術館の学芸員、岡村幸宣さんは「今の日本で、表現の自由はプライベートな場では守られても、公共の場では限られています。公共イコール国家権力ではないはずなのに」と批判する。

   ロバート・キャンベルさんは「強い芸術にはいつも政治性があります。発信する場を、市民均等に整えるのが行政の責任です」

   あいちトリエンナーレの会場の一角では、いまも市民と作家が作品展示をめぐって議論をつづけている。「税金を使ってほしくない」「見るべき人の思いをどうする」と主張は平行線だが、参加者は自由に発言し、耳を傾ける。展示作品は消え、議論が残った形だ。

   武田真一キャスター「そこに私は希望を感じたいですね」

   *NHKクローズアップ現代+(2019年9月5日放送「『表現の不自由展・その後」』中止の波紋」)

文   あっちゃん
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