2024年 4月 16日 (火)

長谷川洋三の産業ウォッチ
GM会長の弱気:「ナンバーワンにもいろいろある」の意味

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「ナンバーワンと言ってもいろいろある。ことしは苦しいが、そうあり続けることができるだろう(Many aspects on NO.1 company.It’s crucial this year,but we can continue)」

   米国最大の自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)のリック・ワゴナー会長は2009年1月11日、米ミシガン州デトロイトで開幕した北米国際自動車ショーでGMは今後もグローバルリーダーであり続けることができるかとの私の質問にこう答えた。毎年デトロイトモーターショーに参加している私は、毎回同じ質問をワゴナー会長にしているが、「今年は苦しい」という表現で過去70年以上にわたって続いていた自動車世界一位の座をトヨタ自動車に譲る可能性を認めたことは初めてのことだ。

   世界規模における自動車の生産台数ではすでにトヨタ自動車が2007年からGMを上回っているが、世界販売台数をめぐるGMとトヨタ自動車の戦いは非常に白熱しており、2007年はわずかにGMが上回り世界一を確保した。しかしトヨタの2008年世界販売台数が前年比4%減の896万台と見込まれるのに対し、北米市場の大幅な需要減退に見舞われたGMはトヨタ以上の販売減が見込まれており、ワゴナー会長としてもこれまでの強気の発言を撤回した形だ。

   しかしワゴナー会長はデトロイトモーターショーの冒頭「GMは世界規模でリストラ計画の実現に全力を挙げて取り組んでいるが、GMには最高の自動車を作り出そうという意気に燃えた人材がいる」と強調した。

   2009年のデトロイトモーターショーは、世界最大の自動車イベントであるにもかかわらず米GM、クライスラーの両社が米政府の公的融資を受けるなどの緊迫した情勢を反映、例年のような派手な演出が影をひそめ、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなど日本メーカーの首脳がそろって出席を見送った。しかしドイツのVWのビーターコン社長やダイムラーのツエッツエ社長など、欧州の大手メーカーはトップが姿を見せ、苦しい中でも健闘している姿を強調した。また中国のBYDは家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド車を2011年に米国に投入する計画を発表するなど強い意気込みを見せ、存在を示した。


【長谷川洋三プロフィール】
経済ジャーナリスト。
BSジャパン解説委員。
1943年東京生まれ。元日本経済新聞社編集委員、帝京大学教授、学習院大学非常勤講師。テレビ東京「ミームの冒険」、BSジャパンテレビ「直撃!トップの決断」、ラジオ日経「夢企業探訪」「ウォッチ・ザ・カンパニー」のメインキャスターを務める。企業経営者に多くの知己があり、企業分析と人物評には特に定評がある。著書に「クリーンカー・ウォーズ」(中央公論新社)「ウェルチの哲学「日本復活」」、「カルロス・ゴーンが語る「5つの革命」」(いずれも講談社+α文庫)、「レクサス トヨタの挑戦」(日本経済新聞社)、「ゴーンさんの下で働きたいですか 」(日経ビジネス人文庫)など多数。


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