厚労省技官が口蹄疫殺処分を批判 「第2の新型インフル」論に賛否

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   口蹄疫感染による家畜殺処分やそれを前提にしたワクチン投与に対し、厚労省の医系技官が、ツイッターで疑問をぶつけて波紋を呼んでいる。人にうつったりしないのに、新型インフルと同じ過剰な騒ぎだというのだ。農水省などからは、「致命的な病気で、放っておいたらまん延する」と反論も強いが、どうなのか。

   ツイッターで疑問を呈した厚労省医系技官の木村盛世さん(感染症疫学)は、2009年5月28日の参院予算委員会で新型インフルの政府対策を批判して話題を呼んだ。

家畜の群れが免疫をつけるまで待てばよい

殺処分批判に賛否両論が
殺処分批判に賛否両論が

   羽田空港の検疫官として参考人に呼ばれ、機内検疫による水際対策偏重で国内対応が遅れがちになったと主張したのだ。木村さんは、ノンフィクション作家として、天然痘テロの危険性を指摘した「厚生労働省崩壊」も書いている。

   木村さんは今度は、口蹄疫問題で家畜殺処分などに噛みついた。ツイッターで10年5月21日、「口蹄疫は人間の『はしか』みたいなものだろう。麻疹も感染力が強いが、罹ったからといって子供を殺すことはしないだろうに」とつぶやいた。致死率は数%で、人にもうつらないのに、殺処分はおかしいということだ。そして、家畜の群れが免疫をつけるまで待てばよいと指摘した。

   さらに、感染肉を人が食べても問題ないとされることから、こうも漏らした。

「口蹄疫に感染したmow mowのお肉をデパ地下で70% off販売したら、間違いなくわたくし、毎日買いに行きます。超高級和牛、通常の30%値なんて夢のようなお話」

   木村さんは、エボラ出血熱や鳥インフルのような致死率の高い病気とは違うとして、「今のような感染が広かった状態でワクチンだの多量殺戮やってどうなるのか」と主張。封じ込めできなかった新型インフルの水際対策に当たるのが大量殺処分、ワクチン投与だとして、「第2の新型インフルエンザ」「官制パニック」だとした。ブログでも25日、主張を載せ、これでは和牛ブランドの維持ができず、経済的・文化的な損失は大きいと訴えている。

農水省は全面的に反論、殺処分続ける方針示す

   こうした発言がツイッター上で伝わると、賛否両論の声が相次いだ。批判としては、獣医学の専門でないのに何を言うか、感染肉が市場に流通したらさらに感染が広がって畜産業が壊滅状態になる、家畜は経済動物なので商品価値がなくなって莫大な経済的損失が出る、といったものだ。

   木村盛世さんが反論すると、さらに批判が寄せられ、ツイッター上でのやり取りは、まとめサイト「Togetter」でも紹介されている。

   殺処分の撤回について、木村さんは、「法に抵触するのであれば法律書き直せばよい」とし、免疫をつけるまで待つ特例を認めるよう農水大臣に伝えたいとも書いた。これに対し、農水省側は、どう考えているのか。

   同省の動物衛生課では、木村さんの主張に全面的に反論する。

「そのような認識であれば、大々的な殺処分はしません。感染力が大変強く、家畜が自分の重みで立ち上がれず、エサや水も採れなくなって死んでしまうのです。産業動物としては、畜産業界では恐ろしい病気です。病気は治ることがあっても、放っておけば感染がどんどん広がります。放っておいた方がむしろ、和牛ブランドの経済的損失が大きい」

   同省では、今後も殺処分、ワクチン投与を続ける方針だという。

   一方、木村さんは、口蹄疫については、アメリカ疾病予防管理センター勤務時代の同僚獣医に話を聞いたとして、こう話す。

「一番の問題は、マンパワーのことです。殺処分などは獣医がやりますが、そんなに人手があるわけではありません。埋める場所を確保するのも、大変な負担になります。それで疲れ果てて倒れるのでは、仕方がありません。殺処分などに反対というよりも、いろんなオプションがあるのになぜ議論しないのかということです。『種牛49頭を生かしてほしい』という東国原知事の訴えについても、農水省が決めたことだからというのはおかしい。新型インフルと同じで、縦割行政でやるのではなくて、国家的な危機管理の問題として多角的に取り組むことが必要だと思います」
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