2024年 4月 16日 (火)

日刊ゲンダイ「民主に投票呼びかけ」  公選法違反といえないがネットで波紋

   「もう一度民主党へ投票を」。同党びいきの報道を続ける日刊ゲンダイが、顔となる1面でこんな見出しを掲げた。公選法違反にはならないが、日本のマスコミ界では異例の呼びかけで、ネットでも波紋が広がっている。

   アメリカの各新聞では、共和党など特定の政党支持を表明するのは珍しくない。ワシントン・ポストなど大手紙の社説も同様だ。

2ちゃんねるではスレッドが乱立する祭り状態

なんと1面で投票呼びかけ
なんと1面で投票呼びかけ

   日本の大手紙などには、こうした文化は根付いていない。しかし、夕刊紙の日刊ゲンダイは、2009年の政権交代以来、民主党支持を明確にする報道を続け、ここに来て、同党への投票呼びかけに踏み切ったわけだ。

   10年6月30日発売号では、1面に大見出しを掲げ、記事中で「選挙民は民主党一本に投票する必要がある」と訴えた。

   その理由として、日本に民主主義を根付かせるために、政権交代を安定的に実現する必要があると主張。「民主党過半数実現で政権交代完成」との大見出しとともに、「争点は消費税ではない 民主党の議席数だ」と見出しで訴えた。消費税は、菅直人首相らが次の衆院選で信を問うと公言しているので、争点ではないというのだ。

   見出しまで掲げたこともあって、ネット上では、同紙の民主党投票呼びかけに波紋が広がっている。2ちゃんねるでは、公選法違反ではないかと、スレッドが乱立する祭り状態に。「どうみてもアウトです」「よくこれ校正通ったな」といった書き込みが相次いでいる。

   政党支持を越えて、投票呼びかけまですることは、本当に公選法に触れるのか。

判例では、「評論と解される」

   確かに、選挙期間中に、第3者が選挙運動のために文書を配れば、公選法142、146条から違反に問われてしまう。ところが、新聞・雑誌といったマスコミは別だというのだ。

   総務省の選挙課では、新聞などへの公選法適用についてこう説明する。

「虚偽であったり、事実を曲げたりしたことでなければ、紙面で、事実に基づいて報道したり、評論を加えたりするのは、基本的に自由です。報道・評論の範囲内なら、直ちに禁止されるものではありません」

   これは、公選法148条の規定にある。都選管の選挙課でも、「表現の自由は、憲法の柱の一つで、新聞などは、社会の公器として情報提供の役目を持っています。それを規制することはできませんので、公選法違反での警告もできません」と言う。

   公選法に言う新聞とは、第3種郵便物に承認され、公示前の1年間、毎月3回以上、定期的に販売しているものを指す。雑誌にも、同様な規定がある。

   投票呼びかけについては、判例でも認められている。東京高裁で1960年7月15日に出た判決では、「評論と解される」との見解が示されている。

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