動画投稿の海上保安官は確信犯 テレビ局に「うやむやになってはいけない」

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   沖縄・尖閣諸島沖起きた中国漁船との衝突事故の様子を収めた動画が動画投稿サイト「ユーチューブ」に流出した問題で、海上保安庁の職員が、上司に対して「自分が映像を流出させた」と話していたことが明らかになった。

   さらに、この職員は、動画投稿について「うやむやになってはいけないと思った」「倫理に反するなら、甘んじて刑にも服します」とテレビ局の取材に答えたといい、確信犯的な行動であった可能性が極めて強い。

「判断材料として見てもらうのが一番」

   流出を告白したのは、43歳の男性職員。海上保安庁の鈴木久泰長官が2010年11月10日午後の衆院予算委員会で明らかにしたところによると、この日9時頃、この職員が上司に報告したといい、9時半頃に鈴木長官に報告された。

   職員が上司に報告したのは巡視艇「うらなみ」の航海中だったが、同日昼に「うらなみ」は11時ごろに神戸港に帰港。身柄は警視庁に引き渡され、事情聴取が行われている。職員が神戸港から任意同行される様子を読売テレビ(大阪市)のカメラがとらえているが、顔を隠すといったことはなく、背筋を伸ばして正面を向いて歩いている。このことから、職員の犯行は「確信犯」だとの見方も出ている。

   この職員はテレビ局の取材に対して、

「あれを隠していいのか、判断材料として見てもらうのが一番。うやむやになってはいけないと思った」

と話している。

「海上保安官なら、誰もが見ることができる状態だった」

   だが、これまで調査の対象になっていたのは、衝突事件を担当していた石垣海上保安部や、動画を保管してあった那覇地検で、5管は全くの「想定外」。海上保安庁の各管区間の業務上の交流は皆無と言ってよく、5管が管轄しているのは主に関西、四国地方の太平洋側や、兵庫、大阪、滋賀、奈良、和歌山、徳島、高知各府県の沿岸水域で、尖閣諸島は関係ない。

   さらに、職員が主任航海士として乗り組んでいる巡視艇「うらなみ」は、全長35メートルと海保の船の中では比較的小さい(中国漁船に衝突された「よなくに」は、全長89メートル)で、主な任務は、パトロールや船舶火災の消火だ。いわば、活動地域も任務も、尖閣諸島とは関係ないことになる。職員は、前出の読売テレビの取材に対して、動画を入手した経緯については明かしていないというが、

「さして国家機密的な扱いをされていなかった」
「海上保安官なら、誰もが見ることができる状態だった」

とも話したといい、問題の動画が、一時的に庁内LANで公開されていた可能性を示唆した。

「国民全体の倫理に反するなら、甘んじて刑にも服します」

   この職員は、

「この映像は、国民の誰もが見るべきもの」
「やったことが国民全体の倫理に反するなら、甘んじて刑にも服します」

とも話したという。衝突事件の動画公開についての政府の対応をめぐっては、海保内に不満の声が相次いでいるとも伝えられており、この「庁内を覆う空気」のようなものが、職員を犯行に突き動かした可能性もありそうだ。

   各紙の報道によると、捜査当局がユーチューブの投稿記録を差し押さえて調べたところ、問題の動画は神戸市内のネットカフェから投稿されたと見られている。

   動画が投稿されたとみられるのは、神戸市中央区のネットカフェ「マンボー 三宮店」。雑居ビルの4階にあり、ウェブサイトでは「ハイスペックPC」を装備していることをうたっている。ネットカフェは、神戸市営地下鉄西神・山手線の三宮駅の出口の目の前にあり、5管との距離は約1キロ。徒歩では12分程度の距離だ。

   このネットカフェでは身分証などの確認は行っていなかったというが、捜査当局は、動画が投稿されたとみられる11月4日夜の防犯カメラの映像などから、この職員が実際に犯行を行ったかどうかについて調べを進め、容疑が固まり次第国家公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕する予定だ。

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