2024年 4月 25日 (木)

菅原文太さんや市民グループ 日本でも「原発国民投票」に動く

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   日本でも原発の是非を国民投票で問うべきだ――俳優の菅原文太さん(77)が記者会見で提案したほか、著名人らが名をつらねる市民グループも国民投票実現を目指している。イタリアに続き、日本でも「原発国民投票」が行われる可能性はあるのだろうか。

   「ドイツもイタリアも脱原発をはっきりさせた。日本も国民投票をやってほしい」。映画「仁義なき戦い」シリーズなどで知られる菅原さんは2011年6月14日、会見の場でこう話した。

現状のままでは無理で、新しい法律が必要

菅原文太さんは「菅首相の最後の大きな仕事」だとして国民投票実現を挙げた。
菅原文太さんは「菅首相の最後の大きな仕事」だとして国民投票実現を挙げた。

   会見は、東日本大震災の被災者の他県などへの移住・疎開を支援する取り組みを発表するために東京都内で開かれた。菅原さんは被災地、宮城県仙台市出身だ。会見には、原発事故で揺れる福島県出身の俳優、西田敏行さん(63)も出席。西田さんは「個人的には原発はノーです」と断言した。

   菅原さんは、第2次世界大戦時の「日独伊三国同盟」を引き合いに出し、「原発はやめろという良い意味での三国同盟を作ればいい」と提言した。

   菅原さんの三国同盟発言は、福島第1原発事故を受けてドイツとイタリアで脱原発をめぐる動きがあったことを受けたものだ。ドイツでは6月上旬、「2022年までに脱原発」を閣議決定した。イタリアでは先日、原発再開の是非を問う国民投票があり、投票率5割超で反対が9割超という圧倒的な差で民意が示された。原発再開を目指していたベルルスコーニ首相は「イタリアは原発にさよならを言わなければならない」と敗北宣言した。

   ところで、日本でも原発の是非を問う国民投票は実施可能なのだろうか。総務省などによると、現状のままではできない。通称「憲法改正国民投票法」が2010年5月に施行されているだけで、憲法改正についてのみ、国民投票が実施できることになっている。自治体単位で行われる住民投票は別物だ。

   では、新しい法律をつくれば良いかというと問題もある。憲法が、国会について「国権最高機関、唯一の立法機関」と定めている規定に照らし、法的に拘束力がある国民投票にしようと思えば憲法改正が必要になってくるとの見方が支配的のようだ。

   ただ、法的拘束力を持たせず、「国民の意見をきく」という形の国民投票なら、憲法は変えずに新法をつくれば実施できそうだ。

落合恵子さん「市民が考えることが大切」

   こうした「諮問型国民投票」をめざす市民グループが5月にできていた。名前は「みんなで決めよう『原発』国民投票」で、サイトをみると「呼びかけ人」の中には、作家の落合恵子さんや作詞家で音楽評論家の湯川れい子さんらの名前が並んでいる。「賛同人」欄には、詩人の谷川俊太郎さんも登場している。

   同グループは、6月25日に都内で設立総会を開く。すでに法案をまとめる作業を進めており、来2012年3月末にも国民投票を実施できないかと、具体的なスケジュールも想定しつつ準備中だ。今後、市民や国会議員らに働きかけを強めていく。

   落合恵子さんに話をきくと、「とにかくここで一度立ち止まって考えましょう。賛成でも反対でも良いんです。市民が考えることが大切です」と訴えた。

   「呼びかけ人」のジャーナリスト今井一さんに電話すると、「先ほど名古屋の河村たかし市長に会い、市長が『賛同人』として署名したばかりです」と明かした。

   今井さんはさらに、「今のような状態を招いた政治家たちが『自分たちが原発の将来を決める』なんておこがましい」と指摘。少しでも早く国民投票が実現するよう政治家が努力するのは当然だ、との考えも示した。投票結果が出れば尊重せざるを得ないため、「諮問型」で十分だと考えている。

   今後、西田敏行さんや「国民投票」発言をした菅原文太さんにも案内の文書を送るつもりだそうだ。

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