どこまで本気か、野田政権の「原発輸出」 社説は「推進」「慎重」に分かれる

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   ヨルダン、ベトナム、韓国、ロシアの4カ国との原子力協定の国会承認案が2011年12月9日の参院本会議で民主、自民などの賛成多数で可決された。12年1月にも発効する見通しだ。

   原発事業の海外展開を進める意思表示といえ、国内的に脱原発世論が強まっている中、「内外使い分け」がどこまで実際に出来るのか。協定を推進した政府も確たる見通しは持っていないようだ。

インドやトルコとも協定めざす

   4カ国との協定は今年1月までに署名していたが、東京電力福島第1原発事故の影響で国会承認が先送りされていた。核物質など原子力関係の資機材や技術を移転する際に、平和利用への限定や国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れ、第三国への移転制限などを定めるもので、具体的には、ヨルダン、ベトナムへは原発輸出、ロシアとは日本の使用済み核燃料から回収したウランの再濃縮の委託、韓国へは原発関連資機材の輸出について、交渉が可能になる。

   さらに、4カ国に続き、既に交渉入りしているインド、トルコ、南アフリカ、ブラジル、アラブ首長国連邦などとの協定締結を目指しており、インドとの間では年末に予定される首脳会談で議題とする考えという。

   政府は新成長戦略で原発輸出を目玉と位置づけていたが、福島の事故で事実上、作業がストップ。しかし、「脱原発依存」の方針の下、国内での原発の新増設が見込めない中、経済産業省や原子力関連メーカーは海外展開に活路を求めるしかないとして、協定承認を求めていた。

   また、国内で「脱原発」が進んだとしても、稼働中の原発のメンテナンスや使用済み核燃料の扱い、今後急増が予想される廃炉などの技術基盤の確保は必須で、国内原発の新設が難しい中、輸出が滞ると「有望な技術者が流出してしまう」との危惧も強かった。

   福島事故を起こしたとはいえ、日本の技術は国際的に評価されており、野田首相は国会質疑で「日本の高水準の技術がぜひ欲しい、という国がある。そうした国の原発の安全性が高まることに貢献するのは意義がある」と答弁している。

原発メーカーは世界受注競争中

   読売新聞グループの渡辺恒雄会長は朝日新聞記事11月28日付のインタビューで

「日本が原発をやめても中国はこれから200基建設していく。…万一事故でも起こしたら放射能は偏西風に乗って日本に降り注ぐ……日本の技術力によってリスクを最小限に抑えた原発を中国に輸出すればいい」

と話している。これは推進派の一つの典型的な考え方だ。

   原発メーカーの期待は大きい。ヨルダンでは、三菱重工業がロシア勢やカナダ勢と受注競争をしている。ヨルダン政府は来年1~3月に優先交渉権を一つに絞るとしており、今回の承認はギリギリのタイミングだった。リトアニアの原発建設では、日立製作所が7月に優先交渉権を獲得。ベトナムも日本の原発導入を決め、東芝、日立、三菱重工の3社が受注を目指しており、日本政府の支援は不可欠だ。

   だが、日本として明確な政府方針は定まっていない。「電力の50%超を原発で賄う」とのエネルギー政策の抜本的な見直しを進めており、結論が出るのは来年夏。だ。

   そうした事情を反映し、協定の採決では民主党内から造反が相次いだ。衆院本会議では、公明、共産、社民、みんなの各党が反対したほか、民主党の京野公子氏(秋田3区)、小林正枝氏(比例東海)が反対し、石原洋三郎氏(福島1区)ら15人が途中退席するなどして棄権。参院本会議でも福島選出議員ら民主党の12人が棄権した。

   主要紙の論調も、日経や産経、読売が「原発輸出へ国会の承認を急げ」(12月3日読売社説)、「安全と原発輸出 『脱原発』にとらわれるな」(11月7日産経社説)など積極的なのに対し、「原子力協定承認 拙速にすぎはしないか」(毎日12月10日社説)、「原発政策 国内外で使い分けるな」(東京12月3日社説)、「ベトナム支援 原発輸出は考え直せ」(朝日11月2日社説)と慎重論もあり、両論に分裂している。

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