2024年 4月 25日 (木)

自民の「消費税戦略」わかりにくい 「増税賛成」だが「協議反対」の理屈

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   自民党は、消費税増税をめざす野田政権が呼びかけている与野党協議に応じない姿勢を示している。

   しかし、消費税増税そのものに反対なわけではないともしており、その分かりにくさからか自民党内やマスコミ、識者からも批判が出ている。

自民党、2010年参院選で「消費税10%」

どうする自民党。
どうする自民党。

   2012年1月11日、自民党の谷垣禎一総裁は、訪問先のインドネシアで記者団に「物事のけじめをつけることが必要だ」と述べた。野田佳彦首相が求めている消費税増税を大きな柱とする「社会保障と税の一体改革の与野党協議」について、現時点では応じない考えを改めて示したものだ。

   谷垣総裁は1月5日の党仕事始め式で、「(民主党には消費税増税を)提起する資格はない」と断じていた。民主党が政権を取った2009年衆院選の際、(4年の)任期中は消費税を上げないと主張したことに触れ、衆院解散・総選挙を求める考えを確認した。

   一方で、自民党は2010年の参院選で、消費税の10%への増税を公約している。政府・与党の素案では「2014年4月に8%、15年10月に10%」となっており、両者の主張には基本的に差はない。

   谷垣総裁が仕事始め式であいさつした1月5日に開かれた自民党役員会では、甘利明・元経済産業相が「消費税増税をすると言ってきたのに、今さら(消費税案件を理由にして)解散、解散と言っても筋が通らない」と、執行部方針に異論を唱えると、甘利氏に賛同する意見が出た。

   ほかにも森喜朗元首相が、与党との協議に応じるべきだ、との考えを2011年末から示している。今の状況のまま解散に追い込んで衆院選で自民党が勝った場合、消費税増税の提起ができなくなるではないか、などと語っていた。与野党で協議し、増税を決めた後に解散・総選挙をするべきだというわけだ。

日経新聞社説「理解に苦しむ」と自民を批判

   石原伸晃幹事長は、民主党が消費税増税反対派を除名すれば協議に応じる考えを示していたが、1月11日のNHK番組では「民主党が言っていたこととやったことが違ったことを首相が謝罪」すれば、「いくらでも(増税を)協議していくべきだと思っている」と述べた。ハードルを下げてきたとの受け止め方もある。

   「消費税増税には賛成だが、民主党が提起する増税協議には応じられない」とする自民党に対しては、冷たい視線を向けるマスコミ、識者も少なくない。

   1月12日付の日本経済新聞朝刊の社説では、09年衆院選時の民主党の主張を理由にして協議に応じない自民党の姿勢について「理解に苦しむ」として、「選挙の前にまず国会で果たすべき責任がある」と批判している。

   また、12日付朝刊の産経新聞コラムでは、ジャーナリストの櫻井よしこさんが、自民党執行部の「協議入りしない」対応について「政党の責任放棄に等しい」と断じている。3月総選挙にこだわるならば「大義なき政局の争いとして、谷垣自民党が非難されるだろう」とも指摘している。

   他の野党では、公明党が自民執行部と同様の主張をし、協議入りに応じられない考えを示している。一方、たちあがれ日本は協議入りを表明し、消費税増税に一定の理解を示している。社民党は、協議入りした上で反対する考えだ。

内閣改造が転機になるのか

   谷垣総裁らが批判する「09年衆院選時の主張との整合性」について、民主党内ではどう受け止められているのか。

   「増税するのは2014年からで、『任期中(最長13年夏まで)には上げない』との主張と齟齬はない」といった声や、「当時党代表だった鳩山由紀夫氏らがそう主張したが、マニフェストに明記していたわけではない」といった逃げ口上もささやかれている。

   民主党内では、鳩山氏や小沢一郎元代表、小沢グループメンバーらが消費税増税に反対している。また、NHKが1月10日報じた世論調査結果によると、政府素案通りの消費税増税について、賛成26%、反対38%、「どちらともいえない」33%だった。

   1月13日には内閣改造が予定されており、自民党などの主張で問責決議を受けた2閣僚の事実上の更迭が決まる見通しだ。自民執行部は、内閣改造を受けて消費税増税協議に対する対応を変えるのだろうか、それとも従来路線を貫くのだろうか。

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