2024年 4月 23日 (火)

新聞社の義援金集め、1位は中日新聞 「阪神」に続いて「東日本」も

   東日本大震災の義援金を1番集めた新聞社は、全国紙ではなく東海地方を中心とするブロック紙、中日新聞(名古屋市)だった。しかも2位の朝日新聞の2倍以上というぶっちぎりの金額だ。

   業界専門紙「新聞情報」が、新聞各社にアンケートした結果だ。なぜ中日がトップなのか。

2位朝日新聞の2倍超、85億8000万円

新聞社中で、中日新聞が義援金集め1位だった。
新聞社中で、中日新聞が義援金集め1位だった。

   「新聞情報」の2012年3月7日付紙面によると、アンケートに回答した28社(全国紙3紙、日経新聞、産経新聞含む)のうち、義援金を最も集めた新聞社(と関連事業団)は、中日新聞で85億8000万円だった(2011年12月末現在)。

   2位朝日新聞(約33億)の2.6倍近くある金額だ。3位は28億円強の読売新聞、4位はブロック紙、中国新聞で20億円強だった。

   どうしてブロック紙である中日新聞に、全国紙を上回る義援金が集まったのだろうか。

   「新聞情報」編集部に理由をきいてみると、(1)「(約5000人の犠牲者が出た1959年の)伊勢湾台風で全国から支援が寄せられたお礼をしたいという気持ちが今でも強い」、(2)「部数、閲読者率が高く、読者との結びつきが強い」、の2点を現地担当者は挙げているそうだ。

「うがち過ぎの見方ですね」

   トヨタ自動車の本社がある愛知県は、製造品出荷額は全国1位で、うち「輸送機械」が48%(2009年)を占める。この「輸送機械」の多くがトヨタ関連とみられており、そのほかにも関連企業が多く裾野の広い影響力が指摘されている。

   そんなことからマスコミ業界の一部では、愛知県豊田市に本社がある世界企業、トタヨ自動車とその関連企業の存在が大きく影響したのでは、との見方もあるようだ。

   中日新聞社会事業団の深見豪事務局長は、義援金額の高さとトヨタ自動車グループの存在とに関係があるのではないか、という見方について、「トヨタ関係の多くの会社からも(義援金を)頂いたのは間違いないが、トヨタ関連企業が数字を引っ張ったとは感じない。うがち過ぎの見方ですね」と分析した。あくまで、幅広い協力を得た結果だという。

   企業の最高額は1億円で、「2社あったがいずれもトヨタグループではなかったと記憶している」。最新の数字では義援金は86億円を超え、件数は約8万5000件に上るそうだ。

   グループ会社の東京新聞の数字も含まれているが、「圧倒的に愛知、中部地方の方が多い」。

   匿名希望を除き、義援金を届けた人の名前と金額を紙面に順次、エリア版などに載せた。全国紙やほかのブロック紙でも同様の対応を取ったが、金額に違いが出たのは、「圧倒的シェアと部数の多さ」の影響だと深見事務局長はみている。

トヨタ自動車、中日新聞通さず計6億円拠出

   たしかに中日新聞は東海地方で圧倒的な影響力を持つ。2012年の媒体資料によると、部数は270万部超(朝刊)。東海3県での閲読者率は64.5%で、「全国紙4紙計は約2割」を大幅に上回っている。

   高い閲読者率を誇るブロック紙、地方紙は他にもあるが、部数でみると中日の数字は群を抜いている。

   愛知県を中心に「多くの人が同じ中日新聞を読んでいる」状態のため、例えば同業他社の企業の名前が義援金紙面に載った場合、「うちの会社も出した方が良さそうだ」となりやすい傾向があるのでは、というわけだ。

   深見事務局長は、「伊勢湾台風の支援への恩返し」という人が少なくないことも指摘した。また、1995年の阪神・淡路大震災のときにも、中日新聞が新聞社で1番義援金を集めたという記事が出たそうだ。

   トヨタ自動車の広報部によると、震災直後に3億円、ほどなくして別に3億円の計6億円の義援金を被災地の育英会などに拠出した。これとは別に役員や社員に呼びかけ5500万円を集め、日本赤十字社に送っている。いずれも中日新聞は関係していないという。

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