「5年くらいで実用化」目指す iPS細胞、脊髄損傷治療で研究進む

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   2012年のノーベル医学・生理学賞受賞が決まった京都大の山中伸弥教授が開発した人工多能性幹細胞(iPS細胞)。体のあらゆる細胞に成長する性質を持ち、現在は完治が難しい大きなけがや難病の克服に道を開くとの期待が膨らむ。

   既に脊髄損傷の治療については研究がかなり進んでいる。研究段階から実用化まで「あと5年」と、見通しがある程度立っているようだ。

サルでも実験成功、損傷1か月程度なら効果大

   細胞はひとつの受精卵から分裂を繰り返し、臓器や神経、筋肉といった体の各機能の細胞となる。一度これらの細胞に育つと元には戻らない、というのがこれまでの医学界の常識だった。山中教授がつくりだしたiPS細胞は、皮膚の細胞に特定の4種類の遺伝子を加えることで、受精卵のようにあらゆる細胞に成長する「万能細胞」となる。変化した細胞の「初期化」を実現した点が、ノーベル賞受賞において大いに評価された。

   iPS細胞に期待がかけられているのは新薬開発への応用、そして再生医療だ。心臓や肝臓といった臓器が機能不全を起こした場合でも、iPS細胞ならそれぞれの臓器の細胞に成長させることができる。今日のような臓器移植手術では、他人のものを移植するため拒否反応が心配だが、iPS細胞は自分の細胞なのでその懸念が薄まるだろう。

   実用化に向けた研究は、着々と進んでいる。山中教授と2006年からiPS細胞の共同研究を手がけている慶應義塾大学医学部の岡野栄之教授は2012年10月9日、TBSの情報番組「朝ズバッ!」に出演し、興味深い話を披露した。

   岡野教授は、iPS細胞を脊髄損傷の治療に応用する研究に取り組んでいる。番組では、脊髄が傷ついたマウスに神経のもととなる細胞を移植したところ、歩けるようになった事例を紹介した。さらに2年前には、サルでも同様の実験で成功を収めた。今日では、損傷から1か月程度しか経過していない患者に対しては治療法の効果が高いことが分かってきており、「5年ぐらいの間に実用化を目指している」と語った。

「本当に元の体に戻るのだろうか」

   「夢の医療」が手の届くところに来ているように映るが、患者側はどうとらえているだろうか。全国脊髄損傷者連合会の理事長を務める妻屋明氏に取材すると、岡野教授の研究は知っているとしたうえで「急に次々と治るようになる、とは想像しにくい」と答えた。

   妻屋氏によると、脊髄損傷を患う人は全国でおよそ5万8000人。全般的に数は減少傾向だが、原因は交通事故と「高齢者の転倒」が顕著だという。自身も40年前に脊髄損傷を負った妻屋氏が「針のむしろにいるような激痛」と表現することから、そのつらさが想像できる。厳しいリハビリを乗り越えて社会復帰し、何年も生活を営んでいる側からすると、iPS細胞による治療法がまだ確立していない以上は「本当に元の体に戻るのだろうか。それよりも痛みを和らげる治療の開発が有益ではないか」と考えるのもやむを得ない。

   数年前に妻屋氏は、iPS細胞による脊髄損傷治療で「あと5年のうちに臨床試験」との話を耳にしたというが、今日になっても「5年」の壁はそのまま残っている。加えて安全面では、iPS細胞の「がん化」の危険性が完全に払しょくされたわけではない点が気になると話す。

網膜の再生にも期待高まる

   岡野教授の研究室のウェブサイトを見ると、動物実験で有効だった手法が人間にも当てはまるかは「慎重な検討を重ねる必要がある」となっていた。患者の立場とすれば、実用化は簡単でないと理解しつつ、「その日」が来るまでは手放しで喜べないようだ。脊髄損傷に限らず、iPS細胞を医療で活用するには倫理面での課題のクリアや法整備、費用面と、治療法の確立以外の面でも超えるべきハードルは少なくない。

   それでも研究者たちの努力は実りつつある。脊髄損傷治療と並んで網膜の再生も、5~10年を目安に実現への期待が高まっている。山中教授はノーベル賞受賞決定後の10月9日、夫人とともに臨んだ会見で「途中で倒れたりしないように、マラソンより長い何十年という道のりを走っていきたい」と述べた。

   仮に短期間では劇的な成果につながらなかったとしても諦めず、長期的なプランを携えて再生医療への道を切り開くという決意の表れだろう。

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