2024年 4月 23日 (火)

県立図書館で「本が読めない、借りられない」 神奈川県教委が「異例」の新方針

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   財政難が続く神奈川県で、県立図書館の閲覧と貸し出しのサービスが廃止される可能性が出てきた。施設や補助金の見直しを柱とする緊急財政対策の一環だ。

   都道府県立図書館を住民が直接利用できなくなるのは異例だが、県では、県内市町村の図書館の数も増えていることから「(県立図書館の)役割を振り返る時期にきている」と話している。

2館で蔵書は約104万冊、年間利用者約43万人

   廃止の方針は、県の教育委員会が2012年11月7日の県議会決算特別委員会で明らかにした。まだ時期など具体的なことは不透明だ。

   県立図書館は横浜市西区と川崎市川崎区にあり、横浜市にある図書館は1954年、川崎図書館は58年に会館。2館合わせた蔵書は約104万冊で、年間約43万人が利用している。

   そのうち川崎図書館は川崎市の土地に立地しており、その借用期限が2017年度末。建物も老朽化していることから同図書館は廃止し、機能を横浜市の県立図書館に一本化する。

   都立図書館や国会図書館などで、貸し出しをしていないところはあるが、閲覧もやらないというのは異例のようだ。

県内図書館の数が増え、影響は限定的?

   県立図書館の開館当時は県内の図書館の数が少なかったため、バスを改造した「移動図書館」が県内を巡回していた。1970年には県内の公立図書館の数は18だったが、現時点では75に増えている。このことから、県立図書館を運営する県教委の生涯学習課では、閲覧と貸し出しサービス廃止の影響は限定的だとみている。

   県立図書館の蔵書には、他の公立図書館と比べて専門書が多いという特徴がある。県内公立図書館と県立図書館の蔵書データは「県図書館情報ネットワークシステム」(KLネット)で共有されており、今後は公立図書館への専門書貸し出しを活発化させる。司書の研修など、公立図書館を支援する役割に特化したい考えだ。県教委の生涯学習課では

「一度、役割を振り返る時期にきているのではないか」

と話している。

   ただし、閲覧と貸し出しの廃止には、県内自治体との連携が不可欠だ。そのため、県内自治体の担当者を交えて13年度中に検討を進め、時期などについて結論を出したい考えだ。サービス廃止によるコスト削減の見込額は、現時点では算定が困難だとしている。

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