2024年 4月 20日 (土)

出生前診断、異常わかるのは3種類だけ ネットでも母親の切実な声

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   血液検査だけで分かる新型の出生前診断が2013年4月にスタートしたが、ダウン症など3種類だけの臨床研究段階に留まっている。賛否が割れていて、なかなか実施も進まないようだ。

   Q&Aサイト「ヤフー知恵袋」には、出生前診断について、いくつもの切実な相談が寄せられている。

診断で異常が出たら、母親の8割もが中絶選ぶ?

Q&Aサイトでも論議に
Q&Aサイトでも論議に

   出生前診断に賛成というある女性(36)は2012年8月30日、「先天性の内臓疾患で入退院を繰り返し、結婚後も遺伝を懸念し妊娠に躊躇している」と知恵袋への質問で明かした。そして、自らの経験から、障害を持った子どもが生まれたとき、「どれだけ大変か知っているの?」と投げかけた。

   この女性は、望んで妊娠したなら障害児でも親が愛すのは当然としながらも、生まれた障害児本人の苦しみは計り知れないと訴えた。幾度も手術を受けなければならないこともあるからだ。

   「私は健康な子供がほしい」。女性はこう言い切る。もし妊娠したら診断を受け、障害児と分かれば中絶を選ぶことを示唆し、どう思うか問いかけている。

   こうした考え方をする女性は、実際に多いようだ。

   ある女性誌は、出生前診断で妊娠異常が分かったら、母親の8割もが中絶を選ぶという専門医のコメントを紹介した。ネット上の投票でも、同様な結果が出ているケースが見られた。

   今回スタートした新型出生前診断は、母親らの要望に応えたものだ。

   お腹に針を刺す羊水検査は、流産のリスクもあったが、血液を調べるだけの新型は、体への負担が軽い。また、妊娠10週からとより早く検査でき、2週間ほどで結果が出るのもメリットだ。ただ、保険適用がなく、自費で20万円ほどを負担しないといけない。

羊水検査で診断を確定させずに中絶の恐れも

   今のところ、診断の対象者は、「高齢妊娠」となる35歳以上の女性と、超音波検査などで染色体異常が見つかったケースに限られる。診断を受ければかなりの精度で染色体異常が分かるが、陽性でも診断を確定させるには、羊水検査を受けなければならない。

   診断で分かるのは、ダウン症のほか、重い心疾患や奇形などが見られるエドワーズ症候群と、呼吸不全や奇形などが出るバトー症候群だ。後者2つは、生後1年まで生きるケースは限られるという重い病気だ。

   しかし、現状では、この3種類しか診断できず、これは先天異常の2割ほどに留まるそうだ。「命の選別」とも指摘される中絶には、賛否が割れているため、臨床研究から幅広く実施に進むには、まだハードルが高そうだ。

   産婦人科医の宋美玄(ソン・ミヒョン)さんは、読売新聞・医療サイトのコラムで、「羊水検査も高額であることなどから確定診断を省いて中絶する例が出る可能性もあると危惧する産科医も少なくありません」と指摘した。また、3種類しか診断できず、「営利目的の外国企業が日本に乗り込んで混乱を及ぼしたり、中絶だけが日本の母体保護法指定医に依頼されたりすることは十分に考えられます」と言っている。

   宋さんは、ツイッターで「出生前診断は命の選択だ、中絶は殺人だというのも一理。が、現状維持じゃ病気の子どもを産んだ時点で親に求められる自己犠牲は非常に大きく躊躇するのは仕方ない。そういうことも議論しないと」とも指摘した。そして、障害を持った子どもや産むことを選んだ母親らのケアもしっかりしないといけないと、問題提起している。

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