2024年 5月 4日 (土)

「パワハラ」もうガマンできない 選手たちが集団直訴、法大野球部監督ついに辞任

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   東京六大学野球リーグで最多優勝44回を誇る法政大学で、選手の排斥行動で金光監督が辞任に追い込まれた。2013年4月4日のことで、最大の理由は「パワハラ」。その確執は2年以上も前からあったという。

選手130人中109人が監督交代を求める

   選手たちが行動を起こしたのは3日のこと。主将以下幹部5人の名前で増田総長あてに監督交代を求める嘆願書が大学に持ち込まれた。応対した野球部長は受け取りを拒否したため、選手側は翌日、郵送したという。

   そして4日午後、法大のグラウンド。野球部長が主将らを聴取。選手たちは改めて監督交代の意思を伝えた。部長は「時間をくれ」と対応条件を出したが、選手側は「今日中(4日)に返事を」と強い態度を示した。さらに、嘆願が認められない場合は5日からの練習や試合、公式戦に出ない、と超早期回答を求めた。その結果、夜になって監督の辞任が選手側に伝えられ、神長助監督の監督代行が決まった。

   嘆願の内容は、選手指導のとき「お前は社会で通用しない人間だ」と罵倒したり、マネジャーを私用に使ったりした、などという。選手側は部員130名に対し、監督交代についてのアンケートをとったところ、交代を求める者が109人という圧倒的な数字となった。その結果を嘆願書に添えたとう。

   金光監督は昨年まで10年間、監督を務めた。昨年の秋季リーグで優勝を飾ったばかり。その優勝監督が選手によって追い出される形となったのだから異常事態である。

   法大の監督問題は2年以上も前からくすぶっていた。関係者によると、金光監督の学生指導者としてあるまじき指導が長年続いた、という。選手の合宿脱走事件もあった、とも証言しており、そのときは監督が選手に謝罪して表面化しなかった、とのことである。ところが再び指導に問題が起き、選手たちから監督交代を求める声が広がった。

   それを問題視したOB会が動き出したのは昨年の夏前。総長に対し、金光監督の暴君的言動を伝え、監督10年を終えるのを機に交代させるべき旨の要望を出した。総長は昨年末までに回答するとしたが、今年になっても返事がなく、問題先送り作戦なのか、金光監督留任で春季リーグ戦が始まる4月に入った。

   今年1月、野球部総会が行われ、金光監督は「OB会から除名」の処分が決まった。監督の任命権を持つ総長は、つまりOB会の意向を無視していたといえる。この間、金光監督は前野球部長らと連名で、OB会の五明会長や山本副会長(WBC日本代表監督)らに対し、名誉毀損で告訴することを予告する文書をOB会に送りつけるなど、泥沼状態となった。

OB会は無視できても、選手の「蜂起」は放っておけない

   OB会の力は及ばず、と判断した選手たちが春のリーグ戦前に自分たちで決着をつける、との意思で勝負に出たわけである。一つ間違えば4年生の進路に響くリスクを承知しての行動だった。学校側は外部の親睦団体であるOB会と違い、学生の抗議となると放っておくことはできなかった。結局、総長はじめ金光監督を支持してきた学校幹部は、騒動の膨張化、勝算なし、と判断、監督に責任を負わせる形で処分したことになる。前監督となった金光氏は4日夜、合宿の荷物を片づけたという。孤独の敗退である。わずか24時間の出来事だった。

   今、社会問題になっている「スポーツと体罰」に関連する法大監督問題。今回の選手側の成功は今後、パワハラなどを抱える他の学校にも影響するだろう。選手が一致団結して行動すれば改革できることを示したといえる。

   選手が監督を辞任に追い込む例はほとんどない。ましてや伝統校である。今後おそらく、法大野球部には指導者交代ノウハウの教えを乞う質問がくるだろう。(スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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