ヘイトスピーチ「法的に規制すべき」 岐阜新聞の社説が議論呼ぶ

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   「朝鮮人を殺せ!」などと叫ぶヘイトスピーチについて、岐阜新聞が法的な規制を検討すべきだと社説で主張して、議論になっている。これは、表現の自由に抵触するのかしないのか――。

   ヘイトスピーチを巡っては、外国メディアも取り上げて、国際的な話題に上がるようになった。国連の委員会も、日本政府に対し、慰安婦問題などについて国民への教育徹底を求めたほどだ。

「言葉の暴力であり、脅迫に近い」

法規制すべきなのか
法規制すべきなのか

   岐阜新聞の2013年5月27日付社説は、こうした情勢を意識して書かれたものらしい。

   社説では、ヘイトスピーチを繰り返す「在日特権を許さない市民の会」やネット右翼の書き込みについて、右翼というよりもレイシストだとして、そのデモなどを「言葉の暴力であり、脅迫に近い」と指摘した。その活動が韓国などに伝えられた結果、反日感情を刺激しており、在日朝鮮人らにも、「単なる不快感を超えた恐怖感さえ植え付けている」とした。東京・新大久保などのコリアタウンは、経済的な被害も受けており、こうした実態がある以上、何らかの対応が必要だと言う。

   ナチス礼賛だけで処罰されるドイツなどのように、欧州では、法的な規制をしていると紹介し、日本の現状を一時代前の認識に留まっていると批判した。そのうえで、日本も、人種差別禁止法の制定を検討すべきだと訴えた。

   ただ、言葉狩りにならないように罰則には慎重でなければならず、まずデモを規制したり、損害賠償請求の根拠を示したりしたらいいとしている。

   こうした主張については、ネット上でも、見方が分かれている。

   「一歩も二歩も踏み込んだ正論」といったツイートもあれば、ネット右翼が多いとされる2ちゃんねるでは、反発の声が相次いで、スレッドが次々に立っている。「新聞が表現の自由を規制しろとか何をトチ狂ってんだ!?」「韓国人のヘイトスピーチは放置っすかw」といったものだ。

   ヤフーニュースは、法規制について意識調査をしており、28日夕時点で、反対が6割、賛成が4割弱となっている。

法曹界では、まとまった見解はなく

   ヘイトスピーチの規制については、メディアでの言論でも、賛否両論がある。

   弁護士ドットコムの2013年5月23日付記事では、中川重徳弁護士が法規制すべきとの立場からコメントを寄せた。中川氏は、実際に在特会のデモを見て、言論の範囲を逸脱した重大な人権侵害があったとして、「刑事罰があってしかるべき」と説いた。ただ、表現規制の危険から、他の手段を検討することも重要だとしている。

   ジャーナリストで民主党参院議員の有田芳生氏も、ツイッターでこの記事に触れ、「『正当な言論』を規制しない新法の議論をすべきでしょう。『殺せ!』は『正当な言論』ではありません」とつぶやいた。岐阜新聞の社説についても、「秀逸です」として、「表現の自由との関わりでも踏み込んだ見識はもっと検討されるべきでしょう」と言っている。

   一方、弁護士ドットコムの記事で、齋藤裕弁護士は、ヘイトスピーチの規制は必要ないとの意見を述べた。齋藤氏は、規制は正当な言論活動にまで及ぶ危険があるとし、むしろカウンターデモなどの手段が有効だと指摘した。また、特定の被害者が分かれば、脅迫罪や損害賠償請求が適用できる可能性があるとも言う。

   フリーライターの赤木智弘さんは、ライブドアニュースの4月9日付コラムで、法規制に疑問を示し、「ヘイトスピーチを排除するのは国家権力の仕事ではなく、国民の仕事である」と主張した。「国民がそのまっとうな言論をもって、恥ずべきヘイトスピーチを口にする人たちを地道に根気よく批判し、力を失わせて行くしか無いのである。自由を求める道に近道などない」と指摘している。

   法曹界では、規制についてまとまった見解はないようだ。日弁連の山岸憲司会長は5月24日にヘイトスピーチに反対する声明を出したが、「直ちに中止することを求める」としただけで、規制についての言及はなかった。

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