2024年 4月 19日 (金)

北朝鮮が「金正恩夫人の醜聞」にキレた! 「朝日記事」引用の韓国報道、「極刑に値する」

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   北朝鮮の金正恩第1書記が元恋人だとされる玄松月(ヒョン・ソンウォル)さんや、著名楽団のメンバーがポルノビデオを制作・販売した容疑で銃殺されたと報じられて約1か月。日本メディアが続報を出してから、やっと北朝鮮メディアが反応を見せた。国営朝鮮中央通信は、「『処刑』『隠ぺい』という謀略説を流した」と日韓メディアの報道を批判しているが、具体的にどの部分に反論しているかは読み取りにくく、銃殺そのものを否定しているのかも明らかではない。 

楽団の名前は7月29日を最後に登場せず

韓国メディアも朝日新聞の記事を大きく報じた(写真はKBSテレビ)
韓国メディアも朝日新聞の記事を大きく報じた(写真はKBSテレビ)

   発端は2013年8月29日の韓国・朝鮮日報の報道だ。朝鮮日報によると、玄さん以外にも北朝鮮では著名な「銀河水(ウナス)管弦楽団」の団長や歌手が、金第1書記の指示に反して自分たちの性行為の様子を撮影、販売したとされる。8月17日に逮捕され、20日に公開で銃殺されたという。同楽団の公演には金第1書記もたびたび足を運んでおり、李雪主(リ・ソルジュ)夫人もかつて在籍していたことが知られているが、この記事では「李雪主氏が今回の事件に関与したか否かは明らかになっていない」としている。

   「銀河水」という単語は朝鮮中央通信では7月29日を最後に登場しておらず、銃殺後に解散させられた可能性がある。

   さらにこの内幕を報じたのが朝日新聞の9月21日の記事だ。この記事によると、銀河水管弦楽団と旺載山(ワンジェサン)芸術団の団員9人が「李雪主も昔は、自分たちと同じように遊んでいた」などと会話した内容を、日本の警察にあたる人民保安部が盗聴。正恩氏が李氏に関するスキャンダルが広がることを懸念した結果、9人は逮捕、銃殺されたという。8月17日逮捕、20日処刑という日程は朝鮮日報と同じだ。

   なお、玄松月さんは銀河水管弦楽団とは別の楽団に所属しており、朝日新聞の記事には登場していない。

   この朝日新聞の記事を、韓国メディアは

「北朝鮮で金正恩国防委員会第1書記の夫人、李雪主氏の関連スキャンダルを隠蔽するために、複数の楽団のメンバー9人を公開処刑したと朝日新聞が報道した」(KBS)

と、金正恩夫妻の関与を示唆する形で報じた。この点が朝鮮日報の初報とは大きく異なり、北朝鮮側の反発を招いたとみられる。

ターゲットは朝日新聞ではなく記事を引用した韓国メディア

   実際、北朝鮮側は朝鮮日報の初報は黙殺してきたが、朝日新聞の続報には素早く反応した。9月22日に朝鮮中央通信が「われわれの最高の尊厳に言い掛かりをつける者は高価な代償を払うことになる 朝鮮中央通信社論評」と題した記事を配信。「最高の尊厳」とは、もちろん金第1書記のことで、

「かいらい一味が御用メディアを通じ、あえてわれわれの最高の尊厳を誹謗、中傷する謀略的悪態をはばかることなくついている」

と憤っている。「かいらい一味」は韓国政府のことを指し、どういうわけか、矛先は朝日新聞ではなく、朝日新聞の記事を引用して報じた韓国メディアに向けられている。

   今回、朝鮮中央通信が問題視している韓国の報道は大きく分けて3つある。もちろん1つめは朝日新聞に関連するもので、

「日本の『朝日新聞』の報道を転載する形式でわれわれの最高の尊厳に言い掛かりをつけて何かの『処刑』『隠ぺい』という謀略説を流した」

と主張。ただ、朝日新聞の記事には玄松月さんは登場しておらず、これまでに広く報じられている玄さんの銃殺説は「スルー」し、その事実を否定しているわけではないともとれる。

論評部分も「中傷まで言い並べた」と非難

   2つ目が体制引き締めに関する報道だ。9月20日、日本のアジアプレスが北朝鮮内部からの情報として

「8月末から全住民を対象に、指導者と朝鮮労働党への忠誠に問題があったことを自己批判し、新たに忠誠を誓わせる『反省文』の提出を強要している」

と報じ、韓国メディアも相次いで引用した。朝鮮中央通信では、そのひとつCBS(基督教放送)を名指しして

「とんでもない謀略世論を流した」

と批判した。

   3つ目が、事実関係ではなく韓国メディアの論評部分に対する批判だ。9月19日には、ニュースサイトの「CBSノーカットニュース」が、労働者や学生からの手紙に正恩氏が直筆で返信したという朝鮮中央通信が伝えた美談を

「金第1書記が人民を愛し、人民のために生きる指導者という意味を浮き彫りにする狙いがあるとみられる」

と論評。この点について朝鮮中央通信は「中傷まで言い並べた」と非難した。

   朝鮮中央通信では、これら3つの事柄を十把一絡げにして

「いくら同族対決に狂っても、分別と越えてはいけない界線があるものである。一体、全同胞が熱烈に敬慕し、万民が仰ぎ慕う最も崇高で偉大な太陽をあえてとんでもないうそで冒とく、中傷することができるのか。これこそ、人間としてはとうてい想像できない野蛮行為であり、極刑に値する大逆罪である」

と憤っているものの、報道された内容の真偽については踏み込んでおらず、何が事実だと主張したいのかは読み取りにくい。

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