著作権切れ書籍データのネット公開停止 出版社側からの抗議に国会図書館が折れる

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   国立国会図書館が「近代デジタルライブラリー」でインターネットに無料公開していた著作権の切れた書籍が、当分の間、館内での閲覧だけに制限されることになった。

   ネット公開について出版社側から抗議があり、国会図書館が検討会議をした結果、「出版事業の維持に直接の影響を与える可能性を現時点では否定できない」として、当面インターネットでの提供を停止する。

「紙の本が刊行中のネット公開に納得いかない」

「近代デジタルライブラリー」ウェブサイト
「近代デジタルライブラリー」ウェブサイト

   国会図書館は、2014年1月7日、「インターネット提供に対する出版社の申出への対応について」という資料を公開した。それによると、出版社から「近代デジタルライブラリー」での公開停止を求められたのは、『大正新脩大蔵経』(全88巻)と『南伝大蔵経』(全70巻)の2種類で、どちらも「仏教学における基本資料」とされる仏教の経典だ。

   編者の高楠順次郎氏は1945年に亡くなり、95年には死後50年が経過したことから、すでに著作権は切れている。国会図書館では、『大正新脩大蔵経』をスキャンしたデータのネット公開を2007年7月からスタートし、2013年2月からは『南伝大蔵経』22冊分も提供するようになった。

   ところが、これらを刊行する大蔵出版から苦情が出た。2013年6月、大蔵出版の青山賢治社長を含む日本出版者協議会と、大滝則忠国会図書館長らによる面談が開かれた。出版社側の主な主張は、紙の本が現在も刊行中にもかかわらず、原本がネット公開されていることに納得いかないということだった。

無料公開の影響で売上が約3分の1

   『大正新脩大蔵経』の全巻セットは約156万円と高価で、ネットでの無料公開の影響で売上が約3分の1にまで減ったという。「民業を圧迫してまで、販売中の書籍をインターネットに公開すべきではない」という旨の意見を出していた。

   これらの経緯を受けて、国会図書館はインターネットでの提供を一時停止し、館内利用に限定するとともに、2013年7月から検討会議を設置して有識者へのヒアリングなどを行ってきた。そして対応措置は以下のようになった。

「 『大正新脩大蔵経』(1923年~1934年、大正一切経刊行会、全88巻)については、インターネット提供を再開する。
   『南伝大蔵経』(1935年~1941年、大蔵出版、全70巻)については、当分の間、インターネット提供は行わず、館内限定の提供を行う」

制度の形骸化では、の声

   国会図書館と有識者の見解では、どちらの書籍に関しても著作権保護期間が満了しており、法的問題は生じていない。では一方はネットでの公開再開、もう一方は館内閲覧に限定した判断の根拠は何か。資料では論点の1つとして「商業出版への影響に対する考慮」が挙げられた。

   『大正新脩大蔵経』に関しては 大蔵出版が復刻版を刊行してから、「投資コストの回収期間としては十分な期間が経過している」と判断した。また、東京大学大学院の大藏經テキストデータベース研究会も同書の印刷版面をネット公開していることに触れ、国会図書館が大蔵出版への売上に直ちに影響していると断定できない、としている。

   一方で、ネット公開が停止され館内限定の提供となる『南伝大蔵経』は、オンデマンド版が2001~2004年と比較的最近に刊行されたばかりで、「投資コスト回収に一定の考慮をすべき期間内である可能性」がある。加えて、国会図書館以外で無料ネット公開されていないため、「出版事業の維持に直接の影響を与える可能性を現時点では否定できない」ことから、以上のような結論に至った。

   ただし、考慮の基準について国会図書館は「事例が不足している」という認識であり、今後も検討を継続する必要があるという考えで、『南伝大蔵経』の停止措置も一定時期をおいて改めて見直す考えだ。

   出版社側の要求に対してネットでは、

「商業刊行中でも青空文庫で読める作品はたくさんあるけどねえ」「制度の形骸化じゃないのか。他の知財では考えられない。権利切れの知財で商売しようとして他からでて死ぬなんてのは経営がマヌケなだけじゃん」

など批判的な意見が少なくない。

   慶應大学大学院メディアデザイン研究科の中村伊知哉教授は、

「著作権フリーコンテンツを巡る公共とビジネスの線引き。制度論よりも悩ましい問題」

とツイートしている。

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