2024年 4月 25日 (木)

1兆円「もんじゅ」で放射性廃棄物の低減は可能なのか 「夢の技術」? それとも高速増殖炉の延命策?

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   政府が原発を「重要なべースロード電源」と位置づけた「エネルギー基本計画」の原案が波紋を広げている。安倍政権は自民、公明両党の議論を経て、3月中にも基本計画を閣議決定する方針だ。

   基本計画をめぐる一連のマスコミ報道で見落とされがちなのが、核燃料サイクルと高速増殖原型炉「もんじゅ」の扱いだ。「放射性廃棄物の減容化・有害度低減のための技術開発」と位置づけを変え、いわば格下げした形なのだ。果たして放射性廃棄物の低減など、「もんじゅ」にできるのだろうか?

「増殖」の二文字が消えた

   前回(2010年)の同計画で、高速増殖炉は「2025年頃までの実証炉の実現、2050年より前の商業炉の導入に向け、研究開発を推進する」としていた。今回の基本計画の原案は原子力政策について、「もんじゅ」の活用を念頭に「高速炉や加速器を用いた核種変換など、放射性廃棄物中に長期に残留する放射線量を少なくし、放射性廃棄物の処理・処分の安全性を高める技術等の開発を国際的なネットワークを活用しつつ推進する」と明記している。ここで「高速炉」との表現で、「増殖」の二文字が消えた点が注意を要する。

   これは何を意味しているのか。文部科学省によると、「もんじゅ」は発電だけでなく、「将来の放射性廃棄物の体積を原発の使用済み核燃料の約7分の1に減らすほか、有害度(天然ウランと同等の放射線量になるまでの期間)を約10万年から約300年に減少させる研究ができる」という。

   原発で燃やした使用済み核燃料を再処理した後に残る高レベル放射性廃棄物には「高寿命核種」が含まれている。「もんじゅ」を利用して高速中性子の燃料照射試験を行うことで、高寿命核種を短寿命核種や非放射性核種に分離・変換することが可能だというのだ。

   これを「減容化」と呼ぶが、先進各国が高速増殖炉の開発から撤退する中、「放射性廃棄物の減容化に関する照射試験が工学規模で可能なのは、世界でも『もんじゅ』だけ」と、文部科学省関係者は胸を張る。米国もフランスも高速増殖炉の開発からは撤退したが、「放射性廃棄物対策を主眼にした研究開発は継続中」という。

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