2024年 5月 4日 (土)

1兆円「もんじゅ」で放射性廃棄物の低減は可能なのか 「夢の技術」? それとも高速増殖炉の延命策?

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技術者の力を結集して、数十年かけて実現

   放射能の低減に10万年かかる長寿命核種を本当に300年に短縮できるなら、放射性廃棄物の最終処分の方法も変わってくるだろう。自民党の高市早苗政調会長は「高レベル放射性廃棄物の減容化、毒性期間の短縮化を実現できるか、党内で検討させている。これを活用しない手はない」などと、これまで発言している。

   果たして、そんな「夢の技術」は可能なのか。「もんじゅ」の研究・開発を進める日本原子力研究開発機構の野村茂雄理事は自民党の資源・エネルギー戦略調査会で「高速炉の中性子を用い、長寿命で有害度の高い核種の変換は実現可能」としながらも、「分離・変換技術は、様々な国や分野の研究者、技術者の力を結集して、数十年かけて実現する技術だ」と述べ、将来的な「目標」であると説明した。

   かつて高速増殖炉は、核分裂しにくいウラン238を核分裂が容易なプルトニウム239に変換しながら発電し、消費したエネルギー以上の核燃料を生み出す「夢の原子炉」と期待された。しかし、海外ではフランスが原型炉から一歩進んだ実証炉を開発したが、経済性に乏しく実用化が困難なことから閉鎖。米国、ドイツ、英国なども開発から撤退した。トラブル続きの高速増殖炉の運転再開を目指す先進国は日本だけで、積極的に開発を進めるのは他にロシア、中国、インドといった途上国ばかり。この事実が、高速増殖炉の置かれた立場を如実に物語っている。

   小泉純一郎元首相の脱原発発言で、放射性廃棄物の最終処分の困難さがクローズアップされている。そこで改めて登場したのが今回の「減容化」というわけだ。「減容化など、現実には数十年かけてもできるかわからない。文部科学省が狙う『もんじゅの延命策』に過ぎない」との声は、自民党内からも聞こえる。「もんじゅ」は1980年から2013年までに9830億円と1兆円近い予算が使われたが、政府内にも「国民に説明できるだけの成果は何ひとつ上がっていない」(財務省関係者)など、厳しい批判がある。

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