外国人投資家が手ぐすね? 消費増税先送りで「日本売り」の恐怖

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   「衆院解散・総選挙」の機運が急速に強まり、安倍晋三首相が消費税率の10%への引き上げを「先送り」する可能性が出てきた。

   消費税率は2014年4月に現行の8%に引き上げられたが、その後の国内景気に陰りがみえることから、再引き上げに反対する声が高まっていた。消費増税の先送りについて国民に信を問い、実施時期を「2017年4月」に1年半先送りするとの見方が有力だ。

財政再建「後退」で、国債暴落の危機?

消費増税「先送り」で、「日本売り」のリスクは高まっている...
消費増税「先送り」で、「日本売り」のリスクは高まっている...

   そうした中で、消費税率の10%引き上げを「先送り」するリスクについて、「財政再建の後退」、勢い「国債暴落」を理由にあげる経済評論家やアナリストらは少なからずいる。

   経済評論家の池田信夫氏はJB PRESS(2014年10月21日付)で、「アベノミクスの挫折で深まる安倍政権の危機 消費増税の先送りは国債暴落への道」と題して、「このまま日銀が毎月7兆円の国債を買い続け、おまけに政府が消費税の増税を延期すると、それを引き金にして市場が反乱を起こすおそれがある」と、危惧している。

   また、金融アナリストの久保田博幸氏はBLOGOS(11月12日付)で、「消費増税そのものが財政健全化に向けてのひとつの柱として認識されていることは確かで、財政健全化があってこそ、国債への信認が維持されている。これだけ財政が悪化(国の借金の残高が9月末時点で1038兆9150億円)しているなか、国債が安定的に消化され、売買も滞りなく実施されている状況に、国債への信認に対する不安要素は入れてほしくない」という。

   日本銀行の黒田東彦総裁ですら、消費増税の先送りリスクについては「政府の財政健全化の意思、努力が市場から疑念を持たれることになると、確率は低いとは思うが、そういった(長期金利の上昇と行き過ぎた円安の結果、財政赤字がさらに膨らむ)事態が起きると、日銀としても対応しようがない」と、けん制していた。

   日銀だって気が気でない。なにしろ、日銀はいまや日本で一番多く国債(14年3月末時点の残高で201兆円、全体の20%を占める)を保有している。万が一国債が暴落すれば、多額の評価損を抱え込むことになる。

   金融機関にしても、残高を減らしているとはいえ、なお多くの国債を保有。日銀と同様に多額の評価損を抱えれば、経営が傾きかねない事態に陥る。1990年代後半の、金融危機の再燃だ。

日本国債、「格下げ」のタイミングは...

   消費増税について、安倍晋三首相は英フィナンシャル・タイムズ(2014年10月20日付)とのインタビューで、増税を延期する可能性を示唆していた。

   「デフレを終わらせる好機でもあり、この機会を逃すべきではない。消費税を引き上げることで、経済が軌道から外れたり、鈍化したりすれば、税収は増えない。そうなれば意味がない」と語った。消費増税「先送り」となれば、増税による財政再建を急ぐよりも景気回復を優先して、それによる税収増から財政を健全化できると判断したものと推察できる。

   第一生命経済研究所経済調査部のエコノミスト、藤代宏一氏は「財政面だけをみれば、消費増税のほうが多くの税収を得られるでしょう。しかし消費増税を延期すれば、短期的には景気は間違いなく上向きますし、中長期的な経済成長につなげることができます」と話す。

   おそらく他のエコノミストや市場関係者の多くも、そのようにみているのだろう。藤代氏は、「しかも『やらない』というのではありません。1年半の延期であれば、市場の反応も軽微で、『日本売り』というのは考えられません」と言い切る。

   とはいえ、債券市場はいつ急に跳ね上がるかもしれない。その懸念もぬぐえない。国の債務は国民が背負っているので国債の急落はありえないとの見方もあるが、デフォルト(債務不履行)や極度のインフレによって調整された例もまた世界では枚挙にいとまがない。消費増税の延期をきっかけに、株や円で「日本売り」を仕掛ける外国人投資家がいる、という話が金融業界でささやかれているのは確かだ。

   国際金融アナリストの小田切尚登氏は、「国債については直ちに『日本売り』が起こることは考えにくい状況ではあります。しかし、すでに円は『日本売り』の状況です。それによって多くの海外投資家が損をしていますし、少なくとも(日本国債への)印象はよくありませんから、今後は買いづらくなるのは必至です」と、国債の金利上昇(国債価格の下落)圧力は強まるとみている。

   加えて、「あえて『日本売り』のタイミングを探れば、格付け会社による『格下げ』でしょう。現在、格付け会社は日本国債の格付けを『引き下げ』の方向で見直しています。大きく下がると、それが『売り』の理由になります」と話している。

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