腸の健康は脳の健康につながっていく 腸内細菌と「心の病」との知られざる関係

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   私たちの腸には100兆もの細菌が存在するという。これらの腸内細菌は、おなかの健康だけでなく、脳や心の健康維持にも関わっているらしい。

免疫系神経の刺激やホルモン生産で脳に影響

ビフィズス菌を多く含む食品やオリゴ糖、食物繊維をとろう
ビフィズス菌を多く含む食品やオリゴ糖、食物繊維をとろう

   乳酸菌やビフィズス菌に代表される「善玉菌」が腸の運動を活発にし、感染症を予防する一方、大腸菌やウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌などの「悪玉菌」が増えると便秘や下痢を引き起こしたり、大腸がんにかかりやすくなったりするのはよく知られている。しかし、これらは100種類以上もあると言われる腸内細菌のごく一部だ。私たちのおなかには、まだその働きを良く知られていない細菌がたくさん棲息している。近年、腸内細菌の多様な働きが世界中の科学者たちの注目を集め、さまざまな研究が進められている。

   2014年11月に、科学専門誌の『ジャーナル・オブ・メディカルフード』オンライン版に掲載された論文によると、腸内細菌は、睡眠やストレス反応に影響を及ぼすことにより、脳や神経の働きに深く関わっているという。筆者のレオ・ガーランド博士はとくに、腸内細菌がヒトの中枢神経系に及ぼす影響についての最近の知見に着目し、腸内細菌が免疫系を刺激したり、ホルモンや神経伝達物質を生産したりすることにより、ヒトの記憶や認知能力など、脳の働きに影響を与えることを確認している。また、腸内細菌はうつなどの気分障害や統合失調症、アルコール依存症など、心の病気にも関わっているという。

ビフィズス菌やオリゴ糖、食物繊維が腸内バランスを保つ

   腸内細菌は善玉菌と悪玉菌、そして状況次第で善玉にも悪玉にもなる「日和見菌」で構成され、密接にかかわり合いながら複雑にバランスを保っている。このバランスを「善玉優勢」に保つこと、つまり腸内バランスを整えることが腸の健康、ひいては脳の健康につながるのだ。

   ガーランド博士は過去の多くの研究結果から、乳酸菌やビフィズス菌などを多く含む発酵食品や、善玉菌の栄養源となるオリゴ糖や食物繊維を含む食品を摂ることが腸内バランスを整え、脳の発達にも影響を及ぼすことがわかっていると述べている。脳を健康に保ちたければ、腸を鍛えたほうがいい。ついでに便秘も解消され、免疫力がアップするという効果もある。一石二鳥の賢い健康法と言えるかもしれない。

[アンチエイジング医師団 取材TEAM/監修:山田秀和 近畿大学医学部 奈良病院皮膚科教授、近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長]

参考論文

The gut microbiome and the brain.
doi:10.1089/jmf.2014.7000.


アンチエイジング医師団
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