2024年 4月 25日 (木)

政府と沖縄県、辺野古問題で全面対決 話し合いの余地なく、法廷闘争へ

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   米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古沖(同名護市)への移設問題で、政府と沖縄県の溝がさらに深まっている。沖縄防衛局が進めるボーリング調査について、沖縄県の翁長雄志知事が7日以内の停止を指示。これに対して政府は「違法性が重大かつ明白」だとして取り消しを求める申し立てを農水相に行った。政府が県に説明に出向いても「特段の反応はなかった」という。これまでの県の主張を政府は一顧だにしなかったこともあり、ほとんど政府と県が話し合う余地はなくなってしまったかのように見える。法廷闘争も視野に入ってきたようだ。

   その一方で、政府は普天間基地が辺野古に移転した際のメリットも強調しており、辺野古以外の対案について県にゆさぶりをかけているとも言えそうだ。

  • 菅官房長官は「作業を中止すべき理由は見当たらない」と強調している(2015年3月撮影)
    菅官房長官は「作業を中止すべき理由は見当たらない」と強調している(2015年3月撮影)
  • 菅官房長官は「作業を中止すべき理由は見当たらない」と強調している(2015年3月撮影)

翁長知事の指示は「違法性が重大かつ明白で無効」と主張

   翁長氏は2015年3月23日午後の会見で、防衛局が県の岩礁破砕許可を受けた区域外でサンゴを破壊した可能性が高いとして、3月30日までの7日以内に作業を停止するように指示したと発表した。支持に従わない場合は岩礁破砕の有無にかかわらず許可を取り消す方針で、「腹を決めている」とも述べた。

   この指示に対して、菅義偉官房長官は翌3月24日午前の会見で、

「現時点において作業を中止すべき理由は見当たらないという認識。海上ボーリング調査については環境保全に万全を期して本日も粛々と進めている」

と作業の続行を明言。これに加えて防衛局は、指示の取り消しを求める審査請求と、審査請求裁決までの間、指示の効力を停止するように求める申し立てを行政不服審査法に基づいて農水相に行った。同日午後の菅氏の説明によると、沖縄県が問題視している海底へのアンカー設置について(1)県は、元々岩礁の破砕許可を不要としていた(2)那覇空港滑走路増設工事をはじめとする同様のアンカー設置工事についても岩礁破砕手続の対象とされていなかった、などとして、翁長氏の指示を

「こうした指示は違法性が重大かつ明白で無効なもので、現在行われている作業を中断する理由にはならない、そういう報告を受けている」

などと強く非難した。

   菅氏の説明によると、翁長氏の指示は文書で送られてきた。これに対して防衛局は沖縄県に出向いて政府の考え方を説明したという。だが、「そうしたら、沖縄県からは全く、特段の反応がなかった」。

   政府と県が話し合う余地や場所がほとんどなくなっていることは明らかで、今後、行政手続きや法廷闘争に突き進む可能性が高い。

辺野古移転完了すると海兵隊員半減するメリットも強調

   一方で政府は、「普天間飛行場の固定化」というキーワードでも県にゆさぶりをかけ続けている。菅氏の3月24日午前の会見では、県の対応を非難する一方で、普天間移転後についても長めに言及した。

「今月中には普天間飛行場の近くにある米軍基地が返還されて、東京ドーム11個分の土地が返ってくる。そこに地元の皆さんのご要望をいただいて、国際医療拠点などを整備する計画も進んでいる。さらに、辺野古移転が完了すると、今、沖縄に海兵隊員が1万9000人ほどいると言われているが、その半分の9000人以上の方が、グアムをはじめとする国外に出て行かれる。総理とオバマ大統領との一昨年(2013年)の会談において、まさに嘉手納以南、沖縄県の人口の8割が集中していると言われる中部、南部にある米軍基地の約7割が返還される(ことで一致した)」

   菅氏は2月27日の会見でも、翁長氏との面会について聞かれ、

「まず、この問題の出発点である普天間の危険除去についてどう考えるか、ここは私は是非聞いてみたい」

などと答えている。政府は辺野古が普天間の唯一の代替地だと考えており、翁長氏と面会が実現した際には対案の有無も論点になりそうだ。

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