中国当局、葬式での「ストリップショー」禁止 娯楽少ない農村部の仰天慣習残っていた!

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   中国文化省が2015年4月23日、「農村における文化市場の経営秩序をかき乱し、社会の気風を傷つけた」として葬儀での「ストリップショー」を禁止する声明を発表した。警察と連携して違反者を取り締まり、「不法行為を震え上がらせる」と息巻いている。

   中国や台湾では、参列者が多いほど故人が来世で幸福になる、残された親族の悲しみを和らげる、といった理由で葬儀にショーガールを呼ぶ。日本ではおよそ考えられない文化だが、どうやら中国人の伝統的価値観に根差したものらしい。

  • 「地方の文化的な生活を極度に堕落させている」のか?(画像はイメージ)
    「地方の文化的な生活を極度に堕落させている」のか?(画像はイメージ)

「ストリッパーを呼ばないと、誰も来なくなる」

   声明には15年2月に河北省邯鄲市、江蘇省宿遷市で発覚した2例が挙げられた。いずれも葬儀中にストリップショーを行った容疑で歌舞団が摘発されている。

   中国の農村部ではしばしば葬儀に楽団、歌舞団、ショーガールが招かれ、ストリップなどのショーも演じられる。

   24日付けウォールストリートジャーナル日本版によると、中国政府は以前から葬儀でのストリップショーを問題視していたようだ。06年、国営の中国中央テレビ(CCTV)が調査報道番組「焦点訪談」で取り上げ、「これは、地方の文化的な生活を極度に堕落させている」と痛烈に批判したという。

   番組では、衣服をほとんどまとっていない女性が江蘇省東海県の葬儀に登場する様子を映像で紹介。村人はCCTVの取材に「故人のメンツのためだ」「ストリッパーを呼ばないと、誰も(葬儀に)来なくなる」と答えたという。

   最近ではネットの普及とともに過激なストリップショー映像が次々出回り、当局も取り締まりに本腰を入れ始めていた。

   葬儀でのストリップショーは中国本土に限らず、台湾でも盛んだ。12年にはドキュメンタリーチャンネル「ナショナルジオグラフィックチャンネル」公式サイトに、台湾で行われた葬儀の映像が公開。ピンヒールを履いたミニスカートの女性が墓のそばで踊る様子が収められている。同年、AFP通信も弔問客を前に女性が歌やダンスを披露する映像を日本語版サイトで公開した。爆竹が大音量で鳴り響く中、ハイテンポのクラブミュージックに合わせて踊る女性が、時折弔問客らと抱き合っている。

中国人の葬式観は「人がたくさん来て、どんどんお金を使うもの」

   中国事情に詳しいノンフィクション作家・安田峰俊さんは「葬儀の際に淫らな劇などを催す慣習は遅くとも清朝時代以前からあり、当時の地方官僚や文化人が『淫風』と批判した記録も多く見られます」と明かす。現代でも、葬儀でのストリップショーは上流層やホワイトカラーが多く住む都市部でなく、もっぱら農村部の慣習なのだという。娯楽の少ない農村部では、地元住民が集まるイベント、老人らの楽しみ、と認識されているようだ。もっとも、「中国の農村では葬儀の際に必ずストリップを催す、などということはない。そこは誤解なきよう」という。

   地域性はあるのか。そもそも中国人の伝統的「葬式観」は「人がたくさん来て、どんどんお金を使うもの」なので、「(一部地域に限らず)中国各地の農村で、あってもおかしくない慣習です。表沙汰になっていない事例はたくさんありそうです」と語った。

   となると、報道で伝えられた「ストリッパーを呼ばないと、誰も(葬儀に)来なくなる」という地元住民の声にも合点がいく。安田さんも「やや誇張されているものの、多少はそういう側面もあるはず。何らかのイベントがあった方が人は来るよね、という感じです」と話す。

   台湾でも盛んな理由については「台湾は先進国なのですが、文化大革命を経験せず、中国大陸以上に伝統的な価値観が残されている面があります。そのため、ストリップ葬儀の伝統も一部に残っているのでしょう」と分析した。

   では、中国人の伝統的価値観に基づく慣習が、なぜ今規制されるのか。

「ネットで『炎上』し、これを期に禁止政策を出したのでは。習近平は文化政策の好きな政治家で、理由を裏読みすることも不可能とは言えませんが、そもそも現代の中国では、いかなる政権でもこの手の慣習を快く思わないはずですからね」
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