著作権の保護期間延長で「青空文庫」に余波 山本周五郎や三島由紀夫、無料で読めるのは当分先に

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   環太平洋経済連携協定(TPP)がようやく大筋合意に漕ぎ着け、その中で著作権の保護期間の延長が決まった。

   現行、日本の著作物の保護期間は、著作者の没後50年。それがTPP交渉で「70年」に、20年延びることになった。

  • 著作権の保護期間「70年」で、「青空文庫」で谷崎潤一郎が読めなくなる?
    著作権の保護期間「70年」で、「青空文庫」で谷崎潤一郎が読めなくなる?

「70年」は米国に有利に働く?

   著作権の保護期間は、TPP参加12か国のあいだでも異なる。日本やカナダ、ニュージーランドなど6か国は「50年」だが、米国やオーストラリア、シンガポールなどの5か国は「70年」。メキシコは「100年」となっている。

   しかし、「いまや70年が主流」(著作権情報センター)で、米国のほか、欧州連合(EU)に加盟する英国やフランス、ドイツ、イタリアなどの先進国、さらには韓国やブラジル、ロシアなども「70年」になっている。TPPもそれに倣い、統一することを目指した。

   著作権の保護期間が延長されれば、たとえばディズニーキャラクターのように、長く世界中で使われる有力コンテンツを有する米国では、海外から得られる収入(著作権使用料)が増える。一方、ディズニーキャラクターを使用する日本では、著作権の保護期間が延長された20年分、長く使用料を支払い続けなければならなくなる。日本には米ディズニーのような作品が少ないため、海外への支払いが増える懸念がある。

   さらには、保護期間の延長によって、「著作権切れ」間近の作品が利用できなくなることが指摘されている。懸念されるのが、インターネットの電子図書館「青空文庫」の存在だ。

   青空文庫は、著作権の保護期間が切れてパブリックドメイン(公共財産)となった作品を電子化することで、好きな作品をダウンロードして無料で読める。著作者の死後50年を経て著作権の保護期間が切れた作品と、著作権者が「インターネットを通じて読んでもらってかまわない」と判断した作品の2種類が収められており、収録作品数は2015年10月6日現在、1万3297作品ある。このうち、「著作権切れ」が1万3042。保護期間にある作品は255が収められている。

   そんな青空文庫に収められる作品数が、著作権の保護期間の延長によって「大きく減る」とみられているのだ。

江戸川乱歩や谷崎潤一郎はギリギリ公開?

   前出の著作権情報センターによると、「TPPの大筋合意を受けて、これから国内で法改正などを整備します。そのため、実際の運用がはじまるまでは2年ほどかかると思いますが、おそらく現在、すでに保護期間(50年)が切れている作品については(法の不遡及原則により)そのまま無料で読むことができます」と話しているが、「(青空文庫の蔵書は)相対的に数は減ることになります」と説明する。

   つまり青空文庫の蔵書の多くを占める、森鴎外や夏目漱石、芥川龍之介、さらには太宰治(1948年没)や林芙美子(51年没)、坂口安吾(55年没)、永井荷風(59年没)など、明治から昭和初期の作品については無料で読めるが、これから「50年」を迎える著作者の作品は「70年」に延びることになるわけだ。

   たとえば、著作権の保護期間が2016年に切れる江戸川乱歩や谷崎潤一郎(65年没)や、2017年に切れる亀井勝一郎(66年没)の作品はギリギリ公開できるかもしれないが、2018年に期限を迎える山本周五郎(67年没)や2021年の三島由紀夫(70年没)、2022年の志賀直哉(71年没)、2023年の川端康成(72年没)などの作品を、青空文庫で読むにはもう20年待たなければならないことになる。

   じつは青空文庫は2014年9月に、TPPによる著作権保護期間延長が行われた場合の青空文庫の対応を示していて、そこでは「著作権保護の国際標準はヴェルヌ条約で定められた『50年』である」として「反対」を唱えている。

   著作権情報センターは、「ヴェルヌ条約にあるのは『最低』50年ということです。この問題は国内でも以前から(延長が必要との)議論がありました。それが決まらなかった。先進国で『50年』なのは日本だけ。いわば時代の流れです」と、今回のTPPでの決着に理解を示している。

   とはいえ、インターネットには、

「まじか、谷崎の著作権切れるのに......」
「著作権70年になるとしたらいつから改定されるんだろう。来年(2016年)からだと江戸川乱歩の作品はあと20年待たなきゃということか」
「著作権保護が70年になるの...... はっきりいってイヤです。今のままにして!」

と、落胆の声は少なくないようだ。

   一方、青空文庫は「国内の法整備などをみながら作業を進めることになります」と、保護期間の延長決定に抗うことはしないものの、「たとえば米国で日本文学を研究している人にとっては、保護期間の延長で入手できなくなる作品が出てくることになります。他の意見を聞くことなく、経済のモノサシだけで測って(延長が)決められたことに疑問を感じています」と、呆れぎみに話している。

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