長野県軽井沢町の国道18号線で、スキー客らを乗せたバスが道路から転落し、14人が死亡、27人が重軽傷を負う、痛ましい事故が起こった。スキーツアーを企画したのは東京・渋谷区の「キースツアー」。「激安&格安」のバスツアーとして、インターネットを通じてスキーヤーやスノーボーダーを集めていた。「直販だからできる!激安&格安バスツアー!」事故が起こったのは、2016年1月15日午前2時ごろ、長野県軽井沢町の国道18号線の碓氷バイパスの入山峠付近で、群馬方面から長野方面に向かっていたスキー客を乗せたバスがガードレールを突き破り、道路の右側に転落した。バスは1月14日夜に原宿を出発して長野県の北志賀高原に向かっていた。現場は上りが2車線、下りが1車線となっていて、バスは下りの車線を走行。センターラインをはみ出してガードレールを突き破った。バスは右側を下に横転し、車体は左上部が大きくえぐられるようにへこみ、ガラス窓も大きく壊れていた。このバスには2人の乗員と乗客39人の合わせて41人が乗っていて、14人の死亡が確認され、27人が重軽傷を負ったことがわかっている。意識不明など重篤な乗客も、まだ複数いるようだ。このスキーツアーを企画したのは東京・渋谷区の「キースツアー」。同社は「スキー・スノーボード激安&格安バスツアー」で売っている。フェイスブックでも、長野や新潟、群馬へのスキーツアーを「直販だからできる!激安&格安バスツアー!」と低価格をアピール。スキーやスノーボードを楽しむ若者の写真を載せて、ツアー客を募っていた。同社に限らず、夜行日帰りのスキーやスノーボードのバスツアーの企画は少なくない。インターネットで検索すれば、「夜行日帰りおすすめプラン9400円!」「夜発日帰りバスツアー9300~11000円!(リフト券付)」などと簡単に出てくる。事故を起こしたキースツアーでも、「サクッと夜発日帰り北志賀竜王9400円」などのプランがあった。こうした人気の志賀高原や斑尾高原周辺のスキープランの多くは、夜行日帰り・リフト付きで「1万円前後」が相場のようで、利用客は10代後半から20代の若者が中心だ。インターネットには、こんな声も。「今回事故起こしたキースツアー。安かろ悪かろで笑い転げた。どうやって利益出てるんだろ」「バス会社にピンハネ来てたんだろうなあ」「薄利多売の、赤字同然の格安ツアーが蔓延しているようです」どのように利益を上げているのか、不思議がる声や、価格を安く抑えるためにバス会社などに無理をさせているのではないかと訝しがる向きもある。「誰の利益のために高速回避したんだよ!」格安バスツアーが利益を出すのに考えられる方法は、スキー場がスキーヤーを誘致するためにリフト代などを割り引いたり無料にしたりするケース。最近はスキー・スノボ人口が激減しているので、どのスキー場も集客に躍起だ。とにかく来てもらえれば、スキーなどのレンタル代に食事代など、お金を落としてくれるし、うまくいけばリピーターになってくれるかもしれない。本来、スキー客やツアー会社の負担をスキー場が補うわけだ。バスの運行コストを抑えれば、利益は出やすいだろう。運転手とバスのレンタル、ガソリン代を抑えれば、残りはほぼ利益になるはず。宿泊があればホテルや旅館の、行き帰りのドライブインからのキャッシュバックも利益を底上げしているかもしれない。とはいえ、今回の事故でもなにやら不審な点が浮かんできた。バスが行程表とは違うルートを走っていたというのだ。行程表によると、バスは1月14日23時に東京・原宿を出発。往路は関越自動車道と上信越自動車道を通り、長野県の佐久インターチェンジで一般道に入って複数のスキー場をめぐるルートのはずだった。この行程表どおりならば、事故現場は通行しなかった。なぜ、運転手は行程表どおりに走らなかったのか――。バスを運行するイーエスピーは、異なるルートだった理由は「わからない」としている。しかし、インターネットでは、「誰の利益のために高速回避したんだよ!」「時間調整で高速に乗らなかったとかいう説があるけど、そんなことはありえない。高速のほうが運転はラクだし、SAで調整すれば済むこと」「運転手が小遣稼ぎで一般道を暴走か!?」「会社側が経費を浮かせるために運転手に高速回避を示唆。運転手が小遣い稼ぎに個人的に高速回避。どっちかだな・・・」「会社から言われたんだろ。高速代浮かせってwww」などと、推測が飛び交っている。事故原因を含め、警察による解明はこれからだ。
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