リオ五輪「組み合わない柔道」に賛否 王者・リネールは本当に「プライドを捨てた」のか

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「原沢、柔道をさせてもらえませんでした。敗れました」

   実況を担当したNHKの豊原謙二郎アナウンサーは試合終了直後、そう漏らした。リオデジャネイロ五輪柔道男子100キロ超級の決勝が2016年8月13日早朝(日本時間)に行われ、日本の原沢久喜(ひさよし)はフランスのテディ・リネールに敗れた。

   しかし、リネールは「組み合わない柔道」を徹底したため、その試合ぶりは多方面で物議を醸すことになった。メディアや柔道関係者からは「逃げ回る王者」「プライドを捨てた」と非難する声が上がったが、逆に「原沢は完敗だった」という声も出ている。

  • 柔道男子100キロ超級で決勝を戦った原沢久喜(右)とテディ・リネール(写真:AP/アフロ)
    柔道男子100キロ超級で決勝を戦った原沢久喜(右)とテディ・リネール(写真:AP/アフロ)

解説の穴井氏「組み合いにはならない」

   リネールは12年ロンドン五輪の覇者で、世界選手権7連覇中。204センチの長身と長い腕を生かして、相手の奥襟をつかみ、頭を下げさせて組み合いを避ける防御主体の柔道で、同階級の絶対王者に君臨している。

   中継で解説を務めた、10年世界柔道金メダリストの穴井隆将氏は、決勝戦開始前、

「組み合う試合には絶対にならない。わずかな隙でも、原沢は自分が優位だと思ったら仕掛けていくべき。ワンチャンスをものにするのが大事」

と試合の行方を予想した。

   5分間の試合はその通りに進んだ。開始8秒、リネールが奥襟をつかみにいくと、原沢は前のめりに倒れ込む。すると、これが故意に取り組みを回避したと見られたのか、原沢に「指導」が入った。1分2秒にも、リネールが原沢の頭の上から手を伸ばして帯の後ろをつかみ、頭を下げさせて畳の上に転がすと、原沢に2つ目の「指導」が入った。

   その後も、組もうとする原沢の手を切り続けるリネール。3分10秒経過時点で穴井氏は「組み合わないリネールに対して指導があってもいいんですけどね」と苛立ったように漏らした。4分27秒経過時に、回避し続けるリネールに1つ目の「指導」が入ると、観客席からは歓声が湧いた。原沢は残り33秒、力を振り絞って攻め続けたが、そのまま時間切れ。指導1つの差で敗れ、銀メダルとなった。客席からはブーイングが響いた。

NHKの公式ツイッターも「これは勝負というものか...」

   穴井氏は試合後、「チャンピオンとしての戦い方には疑問符をつけたい」とリネールを非難。日本の柔道関係者やメディアからも、リネールの姿勢を疑問視する声が相次いだ。

   92年バルセロナ五輪女子52キロ級銀メダリストの溝口紀子氏はツイッターで、「試合終了後の『観客の大ブーイング』が全ての答え」としてこう述べた。

「『柔道の絶対王者リネールだからこそ、反則ねらいの柔道ではなく豪快な一本で決めてほしかった』というメッセージかと。とはいえプライドをすて勝利にこだわったから勝ったとも思います」

   共同通信スポーツ企画室長の船原勝英氏は、同社記事の中で「正直に言って、がっかりした」「最重量級の頂点を決める大一番としてはなんとも物足りない戦い」と不満を露わにした。

   NHKスポーツの公式ツイッターも「これは勝負というものか・・・男子100キロ超級決勝、原沢久喜選手は、王者リネールに柔道をさせてもらえず」のメッセージとともに結果を報じた。

   こういった論調に対し、「オレの目には原沢くん完敗と映ったね」と主張したのは、バルセロナ五輪男子95キロ超級で銀メダリスト・小川直也氏。東京スポーツのウェブサイト「東スポWeb」に寄せたコラム記事で、原沢に苦言を呈した。

「テディ・リネールは4度技を仕掛けていた。これに対して原沢くんはゼロ。まったく組ませてもらえなかったとはいえ、それじゃ勝てないよ」

原沢は「リスクを取って攻めに行かなかった」?

   全日本柔道連盟理事・強化委員長の山下泰裕氏も、「今回、金を取った3人(大野将平、ベイカー茉秋、田知本遥)はリスクを取って攻めに行った」と、試合後の総括の中で、小川氏に類する発言をしている。

   もともと、組み合いを避け、半身を取って逆に相手が逃げているような印象を審判に与えるのがリネールの柔道だとされ、従来通り、その戦術を徹底したに過ぎないという見方もできる。穴井氏も「(磨き上げた戦術)だからこそ、これだけ勝ち続けることができるのかなと。(挑戦する側も)視点を変えていかなければならないかもしれない。そういう相手を倒してこそ本当のチャンピオンだ」という発言を試合後にしている。

   ツイッター上では「指導の数での勝敗はやめてくれ」「フランス代表のせこい柔道」という声の一方、「これがJUDOなんだろ」「いつから柔道は技ではなく積極性をアピールする競技になった?」といった声とで見解は二分している。

   当の原沢本人は、試合直後のインタビューで「前半しのいで後半勝負というプランだった。自分の組手になるチャンスが少なくて、組んでもものにできなかった」と悔しさをにじませた。最後に

「リネールにはチャンスがある限り挑戦し続けたい。また頑張ります」

と残し、競技場を後にした。

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