吹っ飛んだ配偶者控除の廃止 財務省・自民党税調の実力低下が露呈

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   自民党税制調査会は2016年10月18日、非公式会合を開き、17年度税制改正に向けた議論を本格化させた。今年は配偶者控除の廃止を含めた所得税の抜本的改革が焦点になるはずだったが、廃止論は早くも頓挫。財務省や党税調の「威信」の一段の低下を印象付けた。

   安倍晋三内閣の看板である「働き方改革」、とりわけ女性の活躍推進の「目玉」だったはずだが、首相も特段のメッセージが発せられる場面もないまま、突如吹き始めた解散風に飛ばされた格好だ。

  • 配偶者控除の廃止は財務省の「悲願」だった。
    配偶者控除の廃止は財務省の「悲願」だった。

「高所得者の所得税を重くし、低所得者を軽くする」狙い

   「皆さんがご興味のある所得税の改革をどうしていくか」。宮沢洋一・自民党税調会長は18日の非公式会合後、記者団に今年の議論の重点項目を問われ、こう説明した。

   しかし、党税調の議論を待たず、所得税改革の機運はしぼんでいる。妻(配偶者)が年収103万円以下なら夫(同)の所得税が安くなる「配偶者控除」の廃止に向けて議論する方針だったのに、むしろ対象を拡大する方向になったからだ。

   配偶者控除の廃止はもともと、財務省の「悲願」だった。狙いは、高所得者の所得税を重くし、低所得者を軽くすることだ。非正規雇用の割合が増える中、若者を中心に低所得の共働き世帯が増えており、こうした世帯の負担を軽くしなければ、消費減少や少子化が加速するという問題意識がある。

   具体的には、配偶者控除を廃止して、働き方にかかわらず受けられる「夫婦控除」を導入。すべての世帯に適用すると税収が減ってしまうため、中~高所得世帯は控除を減らしたり、対象から外したりする案が軸だった。

   「配偶者控除を見直し、高所得の世帯は応分の負担をしてもらう。その分、低所得の若者世代の負担を減らすことで、若者が安心して結婚し、子育てできるようにしたい」。財務省の佐藤慎一事務次官は以前から、配偶者控除の見直しについて周囲に熱弁をふるっていた。主税局長から、国税庁長官などを経ずに直接次官に就いたのは佐藤氏が35年ぶり。それだけに所得税の大改革には並々ならぬ思い入れがあった。

財務省に「追い風」が吹いたが...

   さらに、今年に入って財務省に「追い風」が吹く。安倍晋三政権が女性の活躍を促す「働き方改革」の議論を本格化させたのだ。配偶者控除は、パートの主婦らが年収を103万円以下に抑えようとするため「103万円の壁」と呼ばれ、「女性の就労の妨げになっている」との批判がある。佐藤氏は働き方改革の議論に乗って、配偶者控除の廃止論を一気に推し進めようとした。

   ここ数年、消費税増税などをめぐって官邸と対立し、ことごとく敗れている自民党税調も、大改革を成し遂げてかつての権威を復活させる好機到来と受け止めた。宮沢党税調会長は8月、報道陣に「所得税の大改革を考えている。配偶者控除の見直しが柱だ」と鼻息荒く語った。

   しかし、高所得の専業主婦世帯は増税になる可能性が高い案だけに、首相官邸は菅義偉官房長官を中心に慎重姿勢を崩さなかった。17年夏に東京都議選を控え、支持層に専業主婦が多い公明党からも異論が噴出。今年9月下旬、年明けの衆院解散説が広がると、永田町では慎重論が大勢となった。

   結局、菅官房長官が財務省に指示し、パートの主婦がより長時間働けるよう、配偶者控除の「壁」を103万円から引き上げる案を議論することになった。廃止するはずが一転、拡充されることになり、財務省や自民党税調が目指した「大改革」はもろくも崩れ去った。

   財務省内では「公明党などに十分根回ししないまま、理想論で突っ走って自滅した。ここ数年の税制改正論議はいつも同じ構図」と、佐藤氏ら省幹部への批判がくすぶる。「壁」を引き上げても新たな「壁」ができるだけで、女性の活躍推進につながらないという指摘は多いうえ、低所得の若者を支援するという本来の目的も雲散霧消。財務省や党税調の実力低下だけが際立つ結果になった。

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