2024年 4月 19日 (金)

トランプに「敗北」した米新聞メディア 「偏ったフィルター」だったのか

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   「メディアは不誠実、そして腐敗している。有権者には、それが分かっている」――米大統領選を通じ、そう主張していたドナルド・トランプ氏が、メディアによる自身の劣勢報道をはねのけた形で勝利を納めた。

   多くのメディア、特に新聞社がヒラリー・クリントン氏の支持を表明し、かつ各種世論調査で「クリントン氏優勢」を伝える中での「逆転」勝利だった。「トランプ大統領」とそれを選んだ米国世論に「新聞メディアが敗北した」とも言えそうだ。

  • 多くの新聞社が「クリントン氏優勢」と伝えていたが・・・
    多くの新聞社が「クリントン氏優勢」と伝えていたが・・・
  • 多くの新聞社が「クリントン氏優勢」と伝えていたが・・・

支持表明の新聞社、クリントン57社vsトランプ2社

   2016年11月9日(日本時間)朝から開票が始まった米大統領選は、接戦の末、トランプ氏勝利が決まった。

   主要メディア間では、直前までクリントン氏優勢・逃げ切りの見方が強く、たとえば投票直前の11月7日(現地時間)のニューヨーク・タイムズ(電子版)では、選挙キャンペーンの締めくくりにあたって「ヒラリー・クリントンからの楽観主義と、ドナルド・トランプからの暗黒」といった見出しの記事を配信していた。

   また、8日時点の世論調査でも、米政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の調査(平均支持率)で、クリントン氏45.5%、トランプ氏42.2%、とクリントン氏優勢の結果が出ており、こうした情報を多くのメディアが報じていた。

   トランプ氏陣営では、本人も含め、たびたび「メディアによる偏ったフィルター」などを口にし、批判してきた。トランプ氏は、大統領選のテレビ討論会の最終回(10月19日)にも、「メディアは不誠実、そして腐敗している」などと訴えた。

   それもそのはず、特に「新聞」では、トランプ包囲網といってよい程、氏に厳しい態度を示していた。米誌「THE WEEK」(電子版、11月7日)などによると、国内100大紙のうち、クリントン氏(民主党)の支持を表明(エンドースメント)した新聞は57社なのに対し、トランプ氏(共和党)支持はわずか2社。前回2012年の大統領選では、現職オバマ氏(民主党)支持41社に対し、ロムニー氏(共和党)支持は35社で、今回の両候補の差がいかに大きいかが分かる。

トランプ陣営は、ネット情報発信を強化

   クリントン氏支持を表明した主要メディアでは、民主党寄りであることで知られるニューヨーク・タイムズは9月24日に、また、やはり主要メディアであるワシントン・ポストも10月13日に氏の支持を打ち出した。さらに、ザ・アリゾナ・リパブリックなど、これまでの大統領選で支持表明をほとんどしなかった(もしくは全くしてこなかった)社の中にもクリントン支持派が出た。

   また、クリントン氏の支持まではいかないまでも、全国紙として知られるUSAトゥデイは、トランプ氏は危険で大統領には不適格だとして、同氏へ投票しないよう呼びかけた(9月30日)。同紙が大統領選で特定の立場を表明したのは、1982年の創刊以来、これが初めてだ。

   一方、トランプ氏支持は、ネバダ州の最大手紙「ラスベガス・レビュー・ジャーナル」(10月23日)と、フロリダ州の「フロリダ・タイムズ・ユニオン」(11月6日)の2紙。このうち、「ラスベガス~」は、トランプ氏の有力支持者が2015年に買収した新聞だ。

   こうした情勢をうけ、トランプ陣営では投票が近くに迫った10月24日から、インターネットを通じての情報発信を強化した。Facebook(フェイスブック)のライブ動画配信を使い、メディアを通さず、連日、有権者に直接、氏が語りかける取り組みを行った。

   トランプ氏は、クリントン氏を典型とする従来型の政治家や既成政党への不信感だけでなく、有権者の間にくすぶっていたメディア不信も味方にして、勝利を呼び込んだ形となった。

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