高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
蓮舫氏は安倍政権を批判できない 民主党時代の「天下り放置」実態

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   天下り問題が霞ヶ関でかなり話題になっている。マスコミの取り上げ方を見ると、トランプ大統領の就任と重なったからか、目立たなくなっている。

   2017年1月後半の今、国会開催中であり、蓮舫・民進党代表は、安倍首相の責任を問うと言っている。そうなると、民主党時代の天下りへの対応が蒸し返されて、お家芸の「大ブーメラン」になるような気がする。本コラムでは、第1次安倍政権で天下り規制を含む公務員制度改革をやっていた筆者の経験に基づき、これまでの天下り規制を整理しておこう。

  • 国民の関心も高い「天下り」問題
    国民の関心も高い「天下り」問題

役所からの情報伝達に着目

   多くの人は「天下り」はいけないという。「天下り」を再就職として、全ての公務員の再就職を禁止しろとかいう人もいる。ただし、これは職業選択の自由から、無茶な話だ。そこで、「天下り」の何がいけないのかと言うと、役所の権限・予算を使って再就職するというところに行き着く。一方、受け入れ側も、役所の権限・予算を見越して天下りを受け入れてくれる。

   役人が現役ならば権限・予算を持っていることは分かるが、辞めた人に役所の権限・予算があるかといえば、それはない。役所に影響力があるかといえば、本人はあると言うかも知れないが、実はよく分からない。ただし、役所の重要部署が、天下りに際して口利きをしていれば、多分影響力があるのだろう。

   実際の再就職では、役所(本人ではなく人事担当者)から「この人は頼む」という「お願い」があれば、その人は役所に影響力があるという暗黙の了解になる。だから、役所から頼まれると、受け入れ側も安心して、再就職を受け入れる。これが典型的な「天下り」だ。この役所からの頼み方にも、いろいろなランクの人事担当者から受け入れ側に話が行く。こうした「天下り」の本当の話は、役所でも人事を行う管理職にならないと分からないはずだ。他方、役所が介在しないで、本人が独力で行う再就職は、世間からみても「天下り」ではない。

   第1次安倍政権では、こうした人事の生々しいことに基づき、役所からの情報伝達に着目した規制が作られた。これが今話題になっている天下り斡旋等の禁止である。そのとき、天下り斡旋等の禁止がきちんと行われているかどうかを監視する再就職監視委員会の設置も決められ、2008年12月に組織は作られた。

民主党政権時代は「現役のまま出向」

   当時、民進党の前身、民主党は野党であったが、ねじれ国会だったので、再就職監視委員会委員の同意人事に反対した。政権をとってからも、委員人事を行わなかった。そのため、再就職監視委員会は組織としてあるが委員不在のため、開店休業だった。野田政権の末期になって、ようやく委員を任命したが、「時、既に遅し」である。

   何もやらなかったと言われると、民進党は、「そんなことはない。民主党が政権をとった2010年度の天下り数が激減したが、その後増加した」と言うだろう。

   これは、数字のマジックである。つまり、政権を取った民主党は、実態は天下りであるものの、「現役出向」という形で処理したために、見かけ上の数字が減少しただけなのだ。

   現役出向というのは、かつては30歳程度の若手職員を民間企業に出向させて、民間感覚を体験するという制度だった。ところが、民主党政権になると、この制度を退職間際の50歳以上の人に拡大した。そして従来の天下リに代わり現職のまま出向させるという、信じがたいことが行われた。これは「再就職」ではなく「出向」なのだから、当面の天下りの数は減るに決まっている。単なる問題の先送りで、実質的には天下りなのだから、その後「出向」が、役所の退職後に「再就職」に切り替わって、結果として天下りが増えてくるのは当然だろう。

   筆者から見ると、民進党は、天下り問題を放置したので、安倍政権を批判できないと思う。今の民進党代表の蓮舫氏も行政改革相のポストにいたわけで、そのポストは公務員制度担当でもあるので、責任は免れないはずだ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)、「これが世界と日本経済の真実だ」(悟空出版)など。


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