テレビドラマの演出家として活躍後、2007年に公開された3作目の映画『キサラギ』で「ブルーリボン賞」や「日本アカデミー賞」を受賞し、一躍売れっ子となった佐藤祐市監督。そこに至る道のりで学んだ「仕事観」が、最新作『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』にも反映されているようだ。(聞き手:野崎大輔)

――最初、原作を読んでどう感じましたか?
佐藤 濃いキャラクターがいっぱいいて、面白く読めて、しかも意外とウルウルするところもあって。すごくエンターテイメントしてるなと思いました。映画にするのは楽しみだなと。だからすぐに脚本にできると思っていたんですが、実際はすごく時間がかかって、クランクイン直前までいじっていました。
――原作のエッセンスが凝縮されているなと思いました
佐藤 「原作からどの部分をチョイスするか」「マ男の過去をどういう順番とタイミングで挟み込むのか」、そして「終わり方をどうするのか」「それらが映像でうまく伝わるのか」。そういうことを詰めるのに時間がかかりました。
それから、何と言っても「会社のブラック度合いは、これで足りているのか?」ということですね。いろんな人のアイデアを集めて「こうした方が伝わりやすいんじゃないか?」という話し合いを何度もしました。原作になかった、マイコさんが松葉杖を突いて出てくるところとかは、僕の昔の部下のエピソードを使いました(笑)。
――「ブラック会社」が、かなりリアルに描かれていたと思いますよ。上司が部下の面倒を見ないとか、経費が認められないとか。就業時間がないも同然みたいなところとか
佐藤 それでもご覧になった方は、いろんな感想を持つと思うんです。すごく身につまされる人もいると思いますけど、僕自身はテレビ制作の仕事をやってきたので、正直「テレビ屋の方がしんどいぜ! 3日寝てないんだよ!」という気持ちもあります。
オンエアが明日ってことになれば、昨日まで撮りためたものを夜通し編集して、ナレーション入れて、オンエアのギリギリ直前に届ける。それでも最初に入った会社は、1カ月の給料が1万円を切っていた(笑)。
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