アフリカに広がる勝ち組と負け組
5月28日から横浜で始まった第4回アフリカ開発会議(TICAD)には、52か国の首脳、閣僚、国際機関の代表が参集した。
国谷裕子が、アフリカのいまを概説。サハラ以南の資源に恵まれた国々は、石油や稀少金属の高騰で高い経済成長率を示す。2007年は、アンゴラの21.1%をはじめ10%超の国が並び、全体でも6%を示す。
その一方、サハラ以南で8億の人口のうち4割が、1日1ドル以下という貧困にあえいでいる。格差はむしろ広がっているともいわれる。
経済成長率21%
アンゴラのルポは、今のアフリカを象徴するものだった。経済成長率21%は、石油によるものだ。首都ルアンダは建設ラッシュ、外資系の店がふえ、ハンバーガー・セットは1500円もする。年商50億円もの「スーパー・リッチ」を生む一方で、国民の70%は貧困のままだ。
中国はここで、石油の利権獲得と引き替えに、5000億円以上ともいわれる資金援助をしている。インフラ整備などに使われているが、仕事は中国企業、働いているのは中国人労働者ばかりだ。
市民団体代表は「巨額の援助や投資なのだから、本来なら技術移転につなげなければいけないのだが」という。事実は「労働人口のほとんどが技術をもっていないことに、政府は向き合う必要がある」(財務相)という段階だ。
国谷が、高橋基樹・神戸大教授に聞いた。「7割の人がオイルマネーの恩恵を受けられないのはなぜか」
高橋教授は「単一産品輸出経済と読んでいる。国際マーケットの動きひとつで経済全体が揺らぐ、経済基盤が脆弱だ」。 「植民地で、もともと国民のための政府はなかった。だれのための政治かという意識が薄い」ともいう。