2024年 4月 20日 (土)

クドカン・ファン大満足 原作派はどう?「流星の絆」

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   <流星の絆>東野圭吾のミステリーを宮藤官九郎が脚本化。幼い頃に両親を惨殺された3兄妹が復讐のために犯人探しをするという、テーマこそシリアスだが、そこはクドカンワールド、随所に笑いがちりばめられている。

   クドカン・ファンとしては大いに楽しんでいるけど、原作ファンはどうなんだろう。そこらへんの感想を聞いてみたいところだ。たとえば兄妹3人のキャラは原作に近いのだろうか。

戸田恵梨香「いじけると可愛い」

   長男の巧一はしっかり者で物静か。でもときどきピントがずれていて二宮和也のとぼけた味がうまく生かされている。次男の泰輔は軽くて頼りないけど愛すべきヤツ。錦戸亮は、「ラスト・フレンズ」の次がこの役でよかった。あれほど陰惨に見えた彼が、すっかりお茶目な男にシフトしている。妹・静奈役の戸田恵梨香はちょっと芝居が硬いが、いじけると可愛いから末っ子向きかも。すぐ2対1の構図になっちゃったり、テンポのいい3人のやりとりに引き込まれる。

   実は兄2人と妹は血が繋がっていない。どんなことがあっても妹だけは守ってやりたい兄たち。だがそれ以上の思いも抱いており、髪を結う妹の仕草に見とれてしまったり、毛布にくるまってスエットに着替える姿にドギマギしたり。そんな妹が親の仇と目される男の息子(要潤)に恋をしていると知り、慌てふためく2人。それぞれの切ない気持ちが伝わってくる。

   絶妙なボケと突っ込み、冷えピタや雑誌(「樽ドル大集合」)などの小道具の使い方、さらには、「フセン男」「二時間ドラマみたいな女」「おサルの日」「おはぎさん(おみやさんのパロディね)」といったネーミングやキャッチフレーズが秀逸。特に錦戸くんを「タレ目の濡れ煎餅」と名付けたのには、あまりにもピッタリで思わず膝を打った。うまいなー。

   ストーリーに即した普通のシーンでも、会話だけで面白くしてしまうその腕は並大抵ではない。だから、かえって毎回挿入されるマンガみたいなコーナーはいらなかったんじゃないかと思う。そこでちょっと緊張が途切れてしまうのだ。

   3人はひょんなことから詐欺を働くようになるのだが、このメンツで変装し詐欺師を演じてもリアリティに欠けるし、コントみたいになっちゃうから、いっそのことマンガタッチにしてしまえという計算の上なのだろうか。

   中島美嘉の存在も意味不明だし、歌謡ドラマ風に歌っちゃうのも……。そこまでやらなくても、セリフの面白さでストーリーを引っ張っていく、あえてクドカン流を封印した作品もちょっと見てみたくなった。

ツキノ・ワグマ

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