フジテレビ開局50周年特別企画と銘打って3夜連続、あれだけの大宣伝をしたお蔭で、第1夜と第3夜の視聴率は20パーセント越えを達成、局はホクホクしているだろうが、ドラマの出来とは別ものだ。
九州の八女家という架空の一族の昭和史であるが、第1夜は八女政子(柴咲コウ)という祖母の世代の物語である。大言壮語の父・時次郎(西田敏行)のせいで貧乏になった一家を支えるべくクラブで働く彼女が、夜の世界の実業家・鬼塚(佐藤浩市)に惚れられて、その愛人になり一家がぶら下がってゆく話だ。大家族全員が東京へ引っ越す。
昭和史上の有名人(美空ひばり、手塚治虫、長谷川町子ら)を無名の八女家の人と遭遇させることによって話にリアリティをもたせる、よくある手法だが、全体に三谷幸喜らしい明るさとノー天気さがあって、暗い昭和にはなっていない。その代わり、この時代で必要欠くべからざる第2次大戦中や戦前戦後のことは通り一遍ですまされている。済まされているばかりか、その時に生まれていない三谷には歴史そのものなので、頭で考えた脚本という難点がもろ見えだった。
例えば、陸軍の出征兵士が戦闘帽の下から、ぞろりと長い髪を出している。あり得ない。入営時に往復ビンタを食らう。昭和23年に鬼塚が吐く「ビジネスパートナー」という言葉。いくら実業家でもこの当時にビジネスという言葉は使わない。そもそも日本語で一般化されていなかった。他にも山ほどある。勉強が足りないから厳しく採点。
(黄蘭)

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